基調講演①:『自発的ソフトウェア進化と品質向上』
~ソーシャルコーディングはソフトウェア進化の新たな形態か?~

奈良先端科学技術大学院大学松本様画像
奈良先端科学技術大学院大学
 情報科学研究科 教授
  松本 健一 氏

<略歴>

1989年5月 大阪大学基礎工学部助手
1993年4月 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教授
2001年4月 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授
2002年度、2006年度 専攻長
2009年度~ 副研究科長「ソフトウェア開発の定量的評価・管理技術に関する研究」

<講演概要>

1970年代にLehmanらが提案した「ソフトウェア進化」という概念により、「ソフトウェアとは、利用者要求や利用環境等の変化に応じて、出荷後はもちろん開発工程においても機能追加や品質向上が繰り返されるものである」と考えられるようになりました。アジャイル開発やチケット駆動開発がその代表例ですが、オープンソースソフトウェアの開発で広く用いられ、先進企業でも採用され始めているソーシャルコーディングでは、品質向上をはじめとするソフトウェア進化のトリガーは、管理者等からの上意下達ではなく、多数の開発者からの自発的な提案に基づいて発せられるようになってきています。本講演では、この「自発的ソフトウェア進化」とも呼べる新たな開発形態における技術的課題を、ソフトウェア工学国際会議ICSEにおける発表論文や研究動向と共に紹介します。

基調講演②:『システム理論に基づく新しい安全性解析手法STAMP/STPA 』
       ~その概要とソフトウェア品質関連の取り組み事例~

長崎県立大学
 情報システム学部 教授
  日下部 茂 氏

<略歴>

九州大学・大学院システム情報科学研究院・准教授などを経て、
現在、長崎県立大学・情報システム学部・教授。並列処理、形式仕様記述、プロセス改善などの研究に従事。 最近はセーフウェアやSTAMPなどに取り組んでいます。
博士(工学)、CMU/SEI認定PSPインストラクタ、等。

<講演概要>

システム理論にもとづくモデル化手法STAMPとハザード分析法STPAが、システム思考による創発的特性の分析手法として大きく注目されています。その提唱者のMIT Nancy Leveson教授は、以前より「ソフトウェアが原因で起こる事故は、要求自体のミスによるものであって、故障とは関係が無い」として、安全性に対す る信頼性一辺倒からの脱却と、ソフトウェア特有の問題への取り組みの必要性を主張し、ソフトウェア技術者にも大きな影響を与えてきました。さらに具体的な方法論としてSTAMP/STPAを提唱し、実例でその有効性を示してきました。近年は、欧米を中心に、慣習的な安全性だけでなく、ある種のセキュリティやIoT、自動運転といった新しい領域への適用も多数試みられています。今回は、このSTAMP/STPAの概要の説明と、主にソフトウェアの品質に関連した取り組み事例を紹介します。

技術講演①:『検証スペシャリストから見たセキュリティ対策』

ベリサーブ上野
株式会社ベリサーブ
 ソリューション事業部 事業部長
  桑野 修

<講演概要>

昨今、企業に求められるセキュリティ対策は年々難易度が高まってきています。一方でセキュリティ人材の不足が話題となっており、セキュリティ対策専任の担当者を配置することは、人員リソース、スキル構成共に困難であることが実情です。そのような状況の中、どのようなセキュリティ対策から着手すれば良いのかお困りの声を聞く機会が多くございます。様々な事例を分析することで、必要なセキュリティ対策は何であるのか、どのように対策を行えばよいのか、今後効果的にセキュリティ対策を行う上で糧となる情報を提供します。

技術講演②:『仕様書レビューのためのワークシート開発!』
~的確で有効な仕様指摘を実現したい~

ベリサーブ蛭田画像
株式会社ベリサーブ
 製造システム事業部
  蛭田 恭章

<講演概要>

現在のソフトウェア開発は、複雑な制約事項(時間やリソースなど)がある中で、多様な要求(安心/安全の品質確保や利用状況の考慮など)を満たす必要がある。この状況においては開発の想定外によって起きる不具合もあり、それらがユーザや社会に大きな影響を及ぼす場合もある。このような不具合を開発の早い段階で検出するため、テストエンジニアが「仕様書レビュー」に加わることがある。しかし、仕様書レビューを実施するあたり、開発側が想定してないユーザの使い方をどう想像するのか、不具合の作り込みにつながる仕様上の問題をどう検出するのか、といった課題が多くあった。それらの課題を解決するため、当社では「仕様書レビュー」のやり方について数年前より研究を進めてきた。本日はその研究での取り組みの一部を紹介します。