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AIを活用してテストケース作成を効率化する機能「GIHOZ AI -BETA-」の紹介その➁ ―AIによるテスト技法の自動選択―

AIを活用してテストケース作成を効率化する機能「GIHOZ AI -BETA-」の紹介その➁ ―AIによるテスト技法の自動選択―

ベリサーブが開発・提供するクラウド型テスト技法ツールGIHOZ(ギホーズ)は2024年9月、仕様書などの文字情報からテスト技法を選択する機能を「GIHOZ AI -BETA-(※)」に追加しました。

AIによりテスト技法を自動選択することで、GIHOZに搭載している6種のテスト技法を適切に使い分けることができ、ソフトウェア開発におけるテスト効率や生産性の向上を実現できます。

今回の記事では「GIHOZ AI -BETA-」のテスト技法を自動選択する機能について詳しく紹介します。

※「GIHOZ AI -BETA-」は、AIを活用してテストづくりを効率化する機能として2024年4月よりベータ版として提供しています。

AIによるテスト技法の自動選択機能開発の背景

GIHOZは6種類のテスト技法(図表1)を搭載しており、用途に応じてユーザー自身がテスト技法を選択する形を取っていました。GIHOZユーザーの中には仕様書などのテストベースを分析して適切なテスト技法を選択し、効率的にテストを作成している方も多くいます。

一方で、テスト技法に関する知識が少なかったり、テスト技法の活用に慣れていなかったりすると、どのテスト技法を適用したらよいかユーザーが判断するのは難しいという課題がありました。

そこでAI技術を用いてテスト技法の選択をサポートすることで、テスト技法に関する知識や経験の少ないユーザーでも適切なテスト技法の選択を容易に行うことができるようにすることを目的に、本機能を開発しました。本機能によって、多くのユーザーが6種類のテスト技法をより活用しやすくなります。

図表1:GIHOZに搭載しているテスト技法

AIによるテスト技法の自動選択機能の概要

本機能は、仕様書などのテストベースの文章から、テスト技法の候補をAIが自動選択する機能です(図表2)。

図表2:AIによるテスト技法の自動選択について

本機能を活用すればAIが適切なテスト技法の候補を自動で選択するため、初心者でもテストベースの内容に応じたテスト分析と設計ができるテスト技法により、効率的にテストを作成できるようになります。

AIによるテスト技法の自動選択機能の利用方法

AIによるテスト技法の自動選択機能を利用するには、事前に「GIHOZ AI -BETA-」の利用申請が必要です。GIHOZを利用中であれば、テストモデル・ケース仕様一覧画面の「GIHOZ AI -BETA-」ボタンから利用申請できます(図表3)。申請はGIHOZサポートにて営業日内に対応しますので、承認されるまでお待ちください。すでに「GIHOZ AI -BETA-」の利用申請が承認されているユーザーは、再度申請する必要はありません。

図表3:「GIHOZ AI -BETA-」の利用申請画面

利用申請が承認されると、AIによるテスト技法の選択機能が利用できるようになります。この機能を使用するには、テストモデル・ケース仕様一覧画面で「GIHOZ AI -BETA-」ボタンをクリックします。テストベースの内容を入力する欄が表示されますので、仕様書などのテストベースの内容を1000文字以内(全角半角問わず)で入力し「選択」ボタンをクリックすると、AIがテスト技法の候補を選択します。処理状況によっては選択が完了するまでに時間がかかる場合もあります。「実行中」のダイアログが表示され、しばらく待つと完了します(図表4)。

図表3:「GIHOZ AI -BETA-」の利用申請画面

本機能を使ってテスト技法を選択した結果をいくつかご紹介します。

■例1■ オンラインショッピングにおける配送料の仕様

テストベース(記号、改行込みで208文字):

オンラインショッピングでは、以下の規定により配送料が決定します。

・通常配送料は、購入商品に「冷凍食品」が含まれていれば500円、「冷蔵食品」は300円、それ以外は無料になる。

・1回当たりの購入金額が5,000円を超えると会員・非会員問わず通常配送料は無料になる。

・配送日を短縮する「お急ぎ」配送を選択した場合、購入金額に関わらず500円の追加料金がかかる。ただし会員登録をしていると、この追加料金は発生しない。

AIによるテスト技法の選択結果:デシジョンテーブルテスト(図表5)

図表5:AIがデシジョンテーブルテストを選択

仕様に購入金額や会員か非会員かなどの条件の組み合わせに応じて動作が決定することが記述されているため、この仕様に対しては、デシジョンテーブルテストがテストを作成するのに適切であるとAIが選択しました。

■例2■ ECサイトの仕様

テストベース(記号、改行込みで169文字):

ECサイトでTシャツの柄・色・サイズを選択してTシャツを購入できます。選択できる柄・色・サイズは以下のルールに従います。

・Tシャツの柄は格子、花柄、迷彩、無地から選択できる。

・色は緑、赤、白、黒から選択できる。

・サイズはXS、S、M、L、XLから選択できる。

・サイズがXSとXLの場合、柄は無地のみ選択でき、色は赤を選択できない。

AIによるテスト技法の選択結果:ペアワイズテスト(図表6)

図表6:AIがペアワイズテストを選択

仕様にTシャツの柄や色などの複数の入力パラメータが存在し、それらのパラメータを自由に組み合わせられることと、組み合わせに対する制約があることが記述されているため、ペアワイズテストがこの仕様に対するテストを作成するのに適切であるとAI が選択しました。

■例3■ 家庭用の照明機器の仕様

テストベース(記号、改行込みで190文字):

照明機器は消灯中にスイッチをONにすると点灯し、点灯中にスイッチをOFFにすると消灯します。明るさが強・中・弱の3段階あり、点灯中に明るさ切り替えボタンを押すと、明るさを切り替えられます。明るさが「強」の時に明るさ切り替えボタンを押すと、「中」に切り替わり、「中」の時に押すと「弱」、「弱」の時に押すと「強」に切り替わります。スイッチをONにした時、明るさは必ず「強」になります。

AIによるテスト技法の選択結果:状態遷移テスト(図表7)

図表7:AIが状態遷移テストを選択

仕様にスイッチのON・OFFなどのイベントに応じた照明機器の状態の変化が記述されているため、状態遷移テストがこの仕様に対するテストを作成するのに適切だとAIが判断しました。

GIHOZ AIの利用に当たっての注意点

「GIHOZ AI -BETA-」の利用に当たって注意すべき点を以下に記載します。これらの注意点を確認の上、使用してください。

<Azure OpenAI Serviceの利用について>

GIHOZ AIはAzure OpenAI Serviceを利用しており(2024年11月時点)、ユーザーが入力したテストベースの内容はAzure OpenAI Serviceに送信されますが、送信されたデータはAIモデルの学習には利用されません。データの取り扱いの詳細は、Azure OpenAI Serviceのデータ・プライバシーおよびセキュリティに関するページ(英語)を確認してください。

<利用回数の上限について>

GIHOZ AIの機能は1日に実行できる回数に上限があり、テスト技法の自動選択およびデシジョンテーブルの自動生成の両機能の合計で1日20回まで利用できます(2024年11月時点)。回数は日本時間の0時にリセットされます。当日に利用可能な残り回数は、テストモデル・ケース仕様一覧またはデシジョンテーブルテストの画面で「GIHOZ AI -BETA-」ボタンをクリックし、テストベースの入力欄を表示すると確認できます(図表8)。

図表8:利用可能回数の上限

<生成結果の正確性について>

「GIHOZ AI -BETA-」は現在ベータ版であり、本機能で出力される内容には不正確な情報が含まれる可能性があります。必ず結果を確認し、必要に応じて修正してください。

また、以下の点に注意することで、不正確な情報の出力を減らせる可能性があります。ただし、正確な情報の出力を保証するものではありません。

・テストベースの情報として、矛盾した情報を入力しない。

・テストベースの情報と関係のない情報や、余計な情報は入力しない。

・表形式の情報はマークダウンやHTMLなどの文字情報で表現する。

上記以外で不正確な情報の出力を減らすための工夫が新たに判明した場合、GIHOZのヘルプページに追記していきます。

おわりに

本記事では「GIHOZ AI -BETA-」の機能の一つである、AIによるテスト技法の自動選択機能を紹介しました。この機能はベータ版であり、ユーザーからのフィードバックに基づき改善を検討していきます。ぜひご利用の上、フィードバックをお寄せください。

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