Cases

株式会社アイリッジ 導入事例

専門組織「品質管理グループ」の体制強化に一役、
テスト実行をはじめとした業務支援で全社規模の品質向上を目指す

スマートフォン向けアプリの開発をはじめ、企業のO2O(Online to Offline)・OMO(Online Merges with Offline)マーケティング施策に関するソリューションを展開する株式会社アイリッジ様。同社は現在、「品質管理」に特化した全社横断型の組織を設けて、製品・サービスの品質向上に取り組んでいます。その一環としてベリサーブは2022年4月よりアプリ開発用プラットフォームなどのテスト業務を支援しています。これら一連の取り組みの背景や経緯、成果などについて、アイリッジ様の現場ご担当者の方に話を伺いました。

株式会社アイリッジ

業種

アプリ開発、アプリマーケティング

導入サービス

テスト実行支援、ニアショア活用

現場ご担当者インタビュー

足立 誠 様

足立 誠 様

経営管理本部 副本部長/経営管理本部 事業管理・推進部 部長/CTO室 副室長/ 企画開発本部 PM部 保守運用グループ長

山崎 麗 様

山崎 麗 様

CTO室 品質管理グループ 副グループ長

「品質管理グループ」立ち上げの理由

──まず御社の事業概要を教えてください。

足立 顧客企業のO2OマーケティングやOMOマーケティングの施策を支援する各種ソリューションを主に提供しています。特にスマートフォンアプリを使ったO2O・OMOに強みを持っており、大手クライアント企業のアプリ開発案件を多数請け負っているほか、アプリ開発するために必要な機能モジュールをSDK(ソフトウェア開発キット)の形で提供する「APPBOX」という製品を提供しています。

また、最近ではシステム開発会社向けの人材リソース最適化ツール「Co-Assign」など、マーケティング分野以外の事業にも積極的に進出しています。

──お二人はどのような業務を担当されているのでしょうか。

足立 私はアイリッジに入社して11年目と社歴が長く、さまざまな役職を兼任しています。現在当社では技術関連の施策を一手に担う「CTO室」という部署を設けており、その副室長を務めています。加えて、CTO室の配下の組織として、全社規模で品質管理の取り組みを推進する「品質管理グループ」のグループ長も少し前まで担当していました。

山崎 私は約2年半前に、アイリッジとしては初の品質管理の専任者として入社しました。それ以降、APPBOXをはじめとする自社開発プロダクトの品質管理を担当してきました。今期からは全社規模の品質向上の取り組みにも関わっています。

インタビュー風景1

──品質管理グループの概要を教えていただけますか。

足立 3年ほど前に新設した同グループには、現在5人のメンバーがいます。発足当初は私ともう1人が兼任で所属していたのですが、お互いに他の仕事が忙しくてなかなか品質管理の仕事に時間を割くことができませんでした。しかしその後、山崎が専任メンバーとして入ってくれたおかげで、ようやく本来の「全社横串で品質を管理する」という活動に本腰を入れられるようになりました。まずは山崎に自社プロダクト開発プロジェクトの品質管理を担当してもらい、その後に採用したもう1人の専任メンバーが受託開発プロジェクトの品質管理を担ってくれています。

──このグループが本格的に始動する前は、どのような形で品質管理を行っていたのでしょうか。

足立 全社共通のルールやプロセスなどは設けておらず、基本的には各プロダクトや案件のプロジェクトごとに品質を担保するという方針を取っていました。このようなやり方でも、プロジェクトマネジャーやメンバーが品質管理に対して高い意識を持っていて、かつ開発テストをしっかり行っているチームは、高い品質を担保していました。

しかし、中にはそうではないケースもあり、そのようなプロジェクトでは残念ながら品質が十分なレベルに達する前に製品をリリースしてしまうことも多々ありました。このようにプロジェクトごとに品質のムラが生じてしまっている状況を改善するためには、全社横串で品質管理を専門に扱う組織を設ける必要があると考え、品質管理グループを新たに立ち上げたわけです。

山崎 キャリアが浅い若手の開発メンバーの中には、これまできちんとテストをやったことがない者も少なくありませんでした。「テストケースの作り方が分からない」「テストを実施したエビデンスを全く残していない」ということもあったので、まずはソフトウェアのテストや品質管理の基本的な事項を習得してもらうところから始めました。

──現在ではベリサーブが御社のテスト業務を支援していますが、どのような課題や目的があって外部企業にテスト実行を依頼しようと考えたのでしょうか。

足立 品質管理グループを設けて山崎のようなエキスパートを採用することで着々と体制強化を図ってきたのですが、それと並行して実際にテストを実行するための体制も整える必要が出てきました。品質を向上させるためには、当然のことながらこれまでより多くのテストをこなす必要がありましたが、そのリソースを社内だけで賄うのは無理がありました。そこでソフトウェアテストを専門的に扱っている外部の会社の支援を仰ぐことにしました。

インタビュー風景2

自発的かつきめ細やかな対応を評価

──ソフトウェアテストや第三者検証を専門に扱う会社は多数存在します。その中からベリサーブを選ばれた理由は?

山崎 ベトナムのオフショア会社にテストを依頼していたプロジェクトがあったのですが、オフショア会社に過度に依存してしまうことにはさまざまなリスクがあることが分かっていました。そのため、ぜひとも国内の会社にお願いしたいと考えていました。

そこでいろいろな会社をリストアップして比較検討していたのですが、もともとアイリッジにいた方が現在ベリサーブさんに在籍しているというご縁があり、ベリサーブさんのお話を直接伺う機会がありました。東京と沖縄の両拠点でフレキシブルに対応できる点や、テスト実行以外にも品質管理に関するさまざまな支援が可能なこと、さらにはコスト面の強みがあることなどが当社の要件に合致することから、最終的に委託することに決めました。

──ベリサーブは、具体的にどのような形で支援に入っているのでしょうか。

山崎 現在、自社プロダクト開発におけるテスト実行の大半をお願いしています。基本的には当社側でテストの仕様や項目を作成し、それに従ってベリサーブさんの沖縄拠点の担当者の方々にテストを実行してもらっています。またベリサーブさんのリーダーの方は東京の拠点にいて、基本的にはここを窓口に業務のやりとりをしています。

ただし沖縄のメンバーとも普段からチャットツールを通じて密接にコミュニケーションを取っていますし、週1回は定例ミーティングを開いて進捗状況を確認しています。それ以外にも、テスト中に何らかの問題が生じた際には、適宜Webミーティングで直接話すようにしています。

──ベリサーブのテスト担当者について、どのような印象をお持ちですか?

山崎 やはりテストを専門にされているだけあって、細かいところにもしっかり目を配ってもらえますし、こちらから事細かに指示を与えなくても、勘所をしっかり押さえながらテストを実行してくれています。この辺りの仕事の品質は、以前お願いしていたオフショアのテスト会社とは違いますね。

また当社側の人手が足りなくてテスト項目書のメンテナンスが疎かになっていたのですが、「こちらで運用・管理しましょうか?」と提案していただき、一部の作業をお願いすることにしました。このように、テスト実行以外の業務も積極的に支援していただけるところも非常に助かっています。

インタビュー風景3

エンジニアのテストや品質管理に対する意識が大幅に向上

──ベリサーブが支援を開始して2年以上が経ちました。具体的な成果は出ていますか?

足立 当社のプロダクトはSDKとしてお客様のソフトウェアに組み込んでご利用いただくものなので、非常に高いレベルの品質が求められます。また一般的なパッケージ製品やライブラリ製品のテストとは異なり、独自のノウハウが必要とされるのですが、ベリサーブさんには約2年にわたってテストを担当していただいているおかげで、理解力が高く、自立的に業務を遂行してくれています。

山崎 ずっと同じ方に担当していただけているのも大きいですね。オフショアのテスト会社の場合は案件ごとにテスト担当者が変わるので、過去に得られた知見やノウハウがなかなか生かされません。でもベリサーブさんの場合は、リーダーともう1人は2年前からずっと伴走していただいていますし、そのほかに1年以上担当してくれている方もいます。こうして同じメンバーの方に過去の知見を生かしながらテストしてもらうことで、より質が上がっていると感じています。

──もともと抱えていた品質管理に関する課題は解決できたのでしょうか?

山崎 今までこなせていなかったテストをきちんと実行できるようになったことで、プロダクトの品質は確実に向上しています。特に長らく提供してきたアプリマーケティングツール「FANSHIP」という自社プロダクトに関しては、以前と比べて明らかに安定して稼働するようになりました。これによって、かつてのように開発現場が頻繁に障害対応に追われるようなことがなくなり、本来の開発業務に専念できるようになりました。

もう1つの自社開発プロダクトであるAPPBOXについては、新規開発プロジェクトでのテストをベリサーブさんに支援していただきました。その際、プロジェクト途中で当初計画より多くのテストリソースが必要になることが判明したのですが、ベリサーブさんの柔軟な対応力によって、即座に人的リソースを追加してくださいました。おかげで無事予定通りに製品をリリースできました。

──開発現場の方々の品質管理に対する意識に何か変化は見られましたか?

山崎 テスト実行により目に見えて製品の品質が上がっていく様を目の当たりにしたことで、エンジニアのメンバーの間でも「やっぱりきちんとテストを行うことはとても大事なんだ」という意識が芽生えてきました。ベリサーブさんのテスト担当者の方から上がってきた不具合の指摘を見ることで、「こういうテストもしなければいけないんだ」「こういうところに気を付けて開発しなければいけないんだ」という気付きが得られ、結果として品質管理に対する意識が向上していることを感じています。

インタビュー風景4

テスト実行以外の領域でもベリサーブの支援に期待

──今後、製品・サービスの品質管理に関して、どのような取り組みを行っていこうとお考えですか?

足立 新たなソリューションを展開していく計画もありますから、それに伴ってソフトウェアテストの規模もさらに拡大していくものと思われます。しかし一方で、テストに投入できる人的リソースにはどうしても限りがありますので、より効率的にテストを実施できる方法を現在模索しているところです。すでにテスト自動化やテストプロセス改善の取り組みは始めていて、一定の成果が表れ始めています。これらの分野でもベリサーブさんの協力を仰げればと考えています。

また全社横串でのテスト標準化の取り組みを進めてはいるものの、まだ当社の全ての事業をカバーできるまでには至っていません。そのため現在、より広い事業領域にテスト標準化の活動を適用できるよう、体制やプロセスの検討を行っているところです。実はベリサーブさんのリーダークラスの方にこの活動に加わってもらい、共に全社展開の活動に取り組んでいただいているところです。

山崎 テスト実行だけでなくそれ以外の領域のご支援もぜひお願いできればと考えています。もちろん従来のテスト実行の業務においても、これまで積み上げてきた知見を基に、単にテストを実行するだけではなくテスト設計の部分など、より広範な作業をお任せできるようにしたいですね。

当社ではプロパー社員とパートナーの区別なく、全員が同じ立場で開発やテストに携わっています。ベリサーブさんのメンバーの方もぜひ遠慮することなく、より良い品質管理を実現するための提言を積極的にしてもらいたいですし、当社での経験を糧にどんどんスキルアップしてより上流工程で力を発揮してもらえるようになれば大変ありがたいですね。

──ありがとうございました。

インタビューにご協力いただいた企業様

社名 株式会社アイリッジ
URL https://iridge.jp/

株式会社アイリッジ