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LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社様 導入事例

生成AIやMBTの活用でテスト自動化を加速
2社で共走しながら新たなチャレンジを続ける

LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社

LINEヤフー株式会社が展開するサービスの運営、テスト、カスタマーサポート、クリエイティブ、事業企画などを手掛けるLINEヤフーコミュニケーションズ株式会社様(以下、LINEヤフーコミュニケーションズ)。コミュニケーションアプリ「LINE(以下、LINE)」およびポータルサイト「Yahoo! JAPAN(以下、 Yahoo! JAPAN )」などのサービス運営業務を担っています。
ベリサーブは、2019年より、 LINEヤフーコミュニケーションズと共同で LINE関連サービスの品質維持・向上に向けた取り組みを行っています。
両社で協力しながらさまざまなチャレンジを行ってきた結果、2022年と2023年には、LINEヤフーコミュニケーションズ内のパートナー評価制度(ONE TEAM PROJECT)にてベリサーブが金賞を頂くなど、その実績を評価いただいています。
これまでの取り組みの背景や経緯、成果などについて、両社の担当者同士による対談形式でお話を伺いました。

業種

インターネット関連 通信・インフラ ソフトウェア 広告 コンサルティング

導入サービス

テスト設計支援、テスト実行支援、テスト自動化支援、ニアショア活用

LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社

森田 達矢 様

森田 達矢 様

サービステスト本部 コアサービステスト部
Marketing Solution Service Testチーム リーダー

松下 亮 様

松下 亮 様

サービステスト本部 グロースサービステスト部
People&Data Manegementチーム アシスタントリーダー

株式会社ベリサーブ

長橋 潤

長橋 潤

デジタルライフ事業部 デジタルサービス課 課長

橋本 力丸

橋本 力丸

デジタルライフ事業部 デジタルサービス課

会社が急成長する中で…QA体制を確立するまで

──お二人の担当業務について教えてください。

森田 コアサービステスト部という部署で、LINE公式アカウントやLINEの広告関連のサービスを担当するチームのリーダーをしています。私は2014年2月に入社して、テスト実行業務を担当後、一度、企画の視点も学びたいと思い企画部署に異動したのですが、2018年にテスト部門に戻り、以降はずっとLINE公式アカウントとLINEの広告関連サービスのテスト業務の領域を担当しています。

松下 グロースサービステスト部に所属し、主に、ビジネスパートナーの皆さまとのやり取りや折衝を担当しています。ベリサーブさんともこの2年くらい積極的に関わらせてもらっています。テストの現場は森田さんの方にお任せしていて、それ以外の全体の管理面とか、会社対会社でのやり取りは私の方で担当しています。2020年入社で、社歴としては約4年ほどですが、テスト業界は10年くらいおり、入社前はベンダーの立場で携わっていました。

森田 松下の入社以前は、管理面も含めて私が一人で担当していましたが、現在は役割分担して進められる体制になりました。

インタビュー風景1

──どのような体制でQAを推進されているのでしょうか。

森田 私が入社した当時は、会社が急成長していた時期だったので、毎月何十人も入社してくる状況でした。経験者は少なく、入社後にテスト についてのスキルや技術を身に付けてもらうための育成を行っていました。私自身も、初めの頃はがむしゃらに働いて業務を覚えました。

──研修システムなどはまだ整備されていなかった状況でしょうか。

森田 はい。現在は教育環境が整っているのですが、それより前の話です。JSTQBのシラバスを読むなどして自分で勉強していました。当時は自律的に成長することを求められていたように思います。

──現在はどのように教育を行われているのでしょうか。

松下 今、私たちの部署で、研修や人材育成について、本部全体での標準化を横串で進めています。スキルマップを作成したり、中途採用者の入社時には、テストの知識がない前提で1週間の初期研修を実施したりしています。初期研修では、テストの「基本のキ」を学んでもらいます。その後、各部署にアサインして、そこでまたOJTを実施します。OJTの期間は、部署やプロジェクトによってまちまちです。

──スキルマップでいうと大きく分けてテクニカルスキルとコミュニケーションスキルがありますが、メンバーのスキルレベルもバラバラな中で、御社として求められるのはまずはどのような部分でしょうか。

松下 私たちの部門のスキルマップは、コミュニケーションスキルに関する設定はなくテストに限定した内容になっています。テストオペレーターからテストマネージャーまで5段階に分けて定義付けし、ビジネスパートナーの皆さまにも共有させていただいた上で業務を依頼しています。

インタビュー風景2

森田 サービスごとの特性もあるので、メンバーの担当割り振りは、スキルを考慮するのはもちろん、横展開を意識して決めるようにしています。例えば、新しいサービスのテストをする際に、似ているサービスや、連携しているサービスを担当していたメンバーを優先してアサインすることで、スムーズに業務移行しやすくなります。

お互いの強みを生かして良きパートナーとして取り組む

──ベリサーブがLINEヤフーコミュニケーションズさんのプロジェクトに参画したきっかけや参画当時の状況について教えてください。

長橋 最初にベリサーブにご依頼いただいたのは2019年です。LINEのサービスがすごく拡大している時期で、組織拡大に応じてテスト領域も広がり、ビジネスパートナーを探していたと伺いました。そのタイミングで、いろいろな会社を選定している中でベリサーブにお声がけいただいた形です。

森田 テスト自動化など技術面に強みを持たれているベリサーブさんと協業することでシナジーを生み出せるのではないかと考えました。

──両社お互いの第一印象をお聞かせください。

森田 ビジネスパートナーを探していたところ、上司からベリサーブさんを提案されたことがきっかけです。ベリサーブの皆さんは誠実で、こちらに寄り添って一緒に頑張っていこうとしてくださるので、パートナーとして同じ目的に向かって仕事をしているという意識が最初の段階から芽生えやすかったです。

インタビュー風景3

長橋 テストの重要性を理解され仕組みなども積極的に作られていて、テストに注力されているとても活力のある会社さんという印象でした。

森田 こちらが求めていることの200%以上の情報を提供してくださったりとか、ODC分析※1も、課題に対して、いろいろな分析手法や解決方法を積極的に提案いただいたり。
テスト自動化でも助けていただきました。社内にも自動化のチームはあったのですがベリサーブさんに「専門の知識がありますし、自動化の第一人者もいます」と頼もしい言葉を頂き、新たに自動化の業務についても契約させていただきました。その後自動化もどんどん加速していますし、ベリサーブさんの存在がプラスに働いていると感じています。

※1 ODC分析:Orthogonal Defect Classification(直交欠陥分類)による欠陥分析手法。欠陥を多角的かつ排他的な属性によって分類(タグ付け)し、定量・定性的に分析する。欠陥領域を特定するだけでなく、それが作り込まれた開発工程まで特定可能であることが特徴。

長橋 森田さんたちは常に提案を柔軟に受け入れてくれる雰囲気があり、新しいことをいろいろ提案させていただいています。

QAとしてのステップアップを目指してお互いにチャレンジ

──LINEヤフーコミュニケーションズさんは、アジャイル開発モデルで進めているのでしょうか?

松下 アジャイル開発がほぼ浸透しています。ウォーターフォール開発で進めるプロジェクトはほぼなくなってきています。理由の一つには、親会社との関係性的にもイテレーティブに進めるほうが合っており、やりやすいという点があります。

長橋 ベリサーブはもともとウォーターフォール開発が多く、文化的にも少し堅めなところがありますが、森田さんと松下さんのやり取りを見ていると、少し違うアプローチでプロジェクトを遂行されているのだという気付きを得ました。よりお客様のやり方に寄せて、私たちも良いところは真似させていただき取り入れていこうということで、ベリサーブの中でも私たちのチームは独自の色が出てきていると感じています。

橋本 そういう流れの中で、2021年度からはスクラムに取り組んでいます。当初は、広告配信Webアプリの検証業務で段階的にスクラムイベントを取り入れたのですが、その後拡大していき、現在は10を超えるプロジェクトでスクラムの考え方・価値観を持って日々業務に当たっています。

インタビュー風景4

──技術交流会を毎年開催されているんですよね。

橋本  両社のメンバーが一堂に会する技術交流会を2022年から始めて、今年で3回目になります。1回目は沖縄、昨年は福岡で開催して、今年はまた沖縄で開催予定です。テーマはさまざまですが、ODC分析、テスト自動化、MBT※2など、新しい取り組みに向けて技術を高める場となっています。LINEヤフーコミュニケーションズさんのスキルマップを基に、お互いのスキルのレベルアップなど、非常に高い熱量で交流させていただき、両社にとって大変良い刺激になっていると思います。

※2 MBT: Model-Based Testing(モデルベースドテスト)は、モデルをテストに使う有用なテストアプローチ。MBTは同値分割、境界値分析やデシジョンテーブルなどの従来から使われているテスト設計技法を拡張・支援。

長橋 新しい技術に関する部分ですと、ベリサーブもテストでAIを活用する取り組みを進めています。その一環で、LINEヤフーコミュニケーションズさんに対しても、テスト自動化やMBTなど、新しいことを提案させていただいています。

橋本 現在は、AIを使って市場の声を分析する新たなサービスについても提案中です。このサービスの活用によりLINEヤフーコミュニケーションズさんのバリューでもある「ユーザーファースト」を達成する手助けになるのではないかと考えています。全社的な導入をご提案しつつ、市場の声をどのようにテスト業務に生かせるかを一緒に考えていきたいというお話をさせていただいているところです。

長橋 LINEヤフーコミュニケーションズさんのプロジェクトに携わっているベリサーブのメンバーは、業務を継続するほど意識が高くなる傾向があります。仕事に取り組む姿勢が前向きで技術面でも成長するなど、その傾向が顕著に出てきている気がします。

──そのようにメンバーが高い意識で仕事ができているのはなぜだと思いますか。

長橋 スクラムの活用や、コミュニケーションを活発にする部分など、LINEヤフーコミュニケーションズさんの良い文化を取り込んで、ベリサーブのチームの中でもそういう文化を醸成しようとしているのではないかと思います。
LINEヤフーコミュニケーションズさんがアジャイル開発でやられているので、私たちもそのスピード感でやらないといけないですし、変化に耐えうる組織にするためスクラムを取り入れました。メンバーにも変化が生まれ、やりがいを持ってくれるようになっています。

さらなる自動化の推進・加速へ。テスト以外での協力も拡大

──今後3年以内にチャレンジしたいこと、予定している取り組みがあれば教えてください。

松下 部門全体の取り組みとしては、7月頃に、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を刷新して、この方針に沿って活動していこうということで動き始めました。私たちの部門でも、バリューとして3つの視点「ユーザー視点」「ビジネス視点」「テスト視点」を設定して、QCの領域から事業に貢献していくために、取り組んでいます。先日ビジネスパートナーの皆さまにも共有させていただき、私たちと同じ方向に向かって進んでいただけたらと思っています。ミッションを達成するためのKPIやKGIなどの数字や、LINEヤフーグループのミッションである『「WOW」 なライフプラットフォームを創り、日常に「!」を届ける。』を共有させていただいて、最高の品質を届けようというビジョンの下、これからも一緒に進んでいけたらと考えています。

インタビュー風景5

──今後ベリサーブに期待することは。

松下 今年からパートナーと一緒に、振り返りや今後の課題・方針などを共有するための報告会を開始し、先日、第1回目を終えました。ベリサーブさんに関しては、課題解決というよりは、私たちのチャレンジをサポートいただきたいという部分が大きいです。もちろんテスト業務の依頼はさせていただいていますが、もう少し広い領域で自動化の支援にも入っていただいているので、他のベンダーさんにはない価値を出していただいていると感じています。

森田 現場としては、ベリサーブさんの強みであるテスト自動化の部分を加速させて、さらなる高度化、効率化を今後も進めていきたいと考えています。MBTも、工数削減などの成果が出てきていますので、ぜひ継続したいです。これからもベリサーブさんと一緒に頑張って進めていきます。

──ありがとうございました。

インタビュー風景6

取材にご協力いただいた企業様

社名 LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社
URL https://lycomm.co.jp/ja/

LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社