Cases

SoVeC株式会社様 導入事例

スピードが必要なプロジェクトでも柔軟かつ確実に対応
ユーザー視点のテストで品質向上に貢献

SoVeC株式会社

ARメディアアプリや動画制作ツールなど、デジタルコミュニケーション領域におけるソリューションの提供と新しい顧客体験の創出を追求するSoVeC株式会社様(以下、SoVeC)。ソニーグループの技術力を強みに、テクノロジーを駆使したさまざまな新しい取り組みを展開しています。
現在はロケーションベースARアプリ「XR CHANNEL」の事業に注力し、イベントや施設の集客などでの引き合いも増加しています。ベリサーブでは、2020年より「XR CHANNEL」のテスト業務を支援しています。
これまでの具体的な施策や成果などについて、同社代表取締役社長の上川 衛 様と、開発・運用ジェネラルマネージャーの渡辺 真司 様にお話を伺いました。

業種

デジタルソリューション提供、アプリ開発

導入サービス

テスト実行、テスト設計

ご担当者インタビュー

上川 衛 様

上川 衛 様

代表取締役社長

渡辺 真司 様

渡辺 真司 様

開発・運用ジェネラルマネージャー

新アプリの立ち上げで手探りでのQA対応

──まずはSoVeC様の会社概要と主な事業内容を教えてください。

上川 当社は「テクノロジーの力で、コミュニケーションを進化させる」をミッションに掲げ、BtoB向けに複数のアプリケーションサービスを提供しています。
現在の主力事業の一つは、ロケーションベースARアプリ「XR CHANNEL」です。「XR CHANNEL」は、スマホのカメラ画像から位置情報を認識するVPS※1技術を活用した国内初の3DマップARアプリです。ソニー株式会社(以下、ソニー)のVPS技術を活用することで、センチメートル単位の高精度の位置認識を実現し、ARコンテンツが現実世界に融け込んだ新しい拡張現実体験を可能にしています。イベントや施設の集客、観光、広告など、幅広く活用いただいています。
今後も「XR CHANNEL」をコア事業の一つとして、アプリとして成長させていくことに加えて、周辺技術を活用した新しいことも展開していく予定で、準備を進めているところです。

※1 VPS:「Visual Positioning System」の略称。現実世界のデジタルコピーである3Dマップと、スマホ搭載のカメラを通して見た画像を照合し、向きや方位を含む高精度な位置情報を特定する技術。

XR CHANEL

「XR CHANNEL」のイメージ

──現在ベリサーブでは「XR CHANNEL」のテストを支援しています。ベリサーブが参画する以前のQAやテストに関する取り組み状況を教えていただけますか。

渡辺 「XR CHANNEL」のリリース以前、当社が提供するサービスはクラウドアプリケーションが主体でした。PCベースのアプリケーションを対象にしていたため、スマートフォンでの利用は特に意識することなく、開発メンバーが開発とQAの両方を行うというDevOps※2の体制を敷いていました。「XR CHANNEL」は、当社として初めてのスマートフォンのクライアントアプリケーションだったため、どのように品質を保証するのか、「XR CHANNEL」の開発開始当時は手探り状態でした。

※2 DevOps:「Development and Operations」の略称。ソフトウェアやシステムの開発(Development)と運用(Operations)の2つの領域を統合する手法・仕組みや文化を指す。

インタビュー風景1

──「XR CHANNEL」のQAについて手探りで対応される中、具体的にはどのような課題や困りごとがあったのでしょうか。

渡辺 私たちは、スタートアップということもあり、「XR CHANNEL」の立ち上げ当初はアプリマーケットのリリースや、QAに関するノウハウが社内にはほとんどない状態でした。「XR CHANNEL」は、幅広いユーザーに体験いただくために、比較的古い端末を使っているユーザーもターゲットにしています。そのため、各世代(年代)別のiOSとAndroid端末の品質を確保しなければならない点が大きな課題でした。特にAndroidの場合は、メーカーごとにデバイスの特徴が異なるため、限られた時間の中で網羅的なテストをする必要があり、そこが最も大変でした。
また、ソフトウェアとしては、Unity、AR Kit/AR Core などOSに依存するライブラリやコンポーネントを複数利用しているため、バージョンによっては不具合が発生してしまうなど、非常に複雑なアプリになっていました。

テストカバー範囲を拡大し品質向上を実現

──ベリサーブを選ばれた理由は?

渡辺 当時の私たちの最大の課題はスマートフォンでの品質保証をどうするのか、という点でした。そこで、客観的な視点により評価してもらえる第三者検証を検討することになったのですが、その時に、社内外から推薦する声が上がったのがベリサーブさんでした。それまでのベリサーブさんの実績を見てもとても信頼できると感じたため、お声掛けさせてもらいました。

上川 「XR CHANNEL」は、あるプロジェクトを一緒にやっていた会社さんがベリサーブさんと取引されていたこともあって推薦いただいたという経緯もありました。

インタビュー風景2

──ベリサーブが支援するようになり、どのような変化がありましたか。

渡辺 アプリケーションをリリースするまでのプロセスがきちんと整った点が大きいです。 先ほども申し上げたように「XR CHANNEL」は、幅広いユーザーの方に利用していただきたいので、OSや端末も古いものも含めてできるだけカバーしたいという思いがあります。私たちだけで幅広い端末をテストするのはかなり大変だったのですが、ベリサーブさんに入ってもらい、いろいろな種類の端末を確保いただいたことで、カバー範囲が拡大してリリースする製品の品質をかなり向上させることができたと思っています。

──特にベリサーブの支援が役に立った場面があれば教えてください。

上川 「XR CHANNEL」のアプリは、CGを作って端末に配信し、VPSとやり取りをするため、高い負荷がかかり、端末側も高いスペックが必要になります。最新のスマホであればなんなく動作するのですが、OSや端末が古い場合や、機種が多数あるAndroidの場合は、サービス適用対象から除外せざるを得ないケースも出てきます。 「XR CHANNEL」ではクオリティを追求していますが、クオリティをどこまで保証するのかの判断は悩ましい部分です。使用するUnityのプラットフォームのバージョン、コンテンツの種類、OS、ARをサポートしているGoogleとAppleそれぞれの仕組み…いろいろな他社のシステムに自社の技術を載せているので、テストに関してもその掛け算になってきます。
何に起因して不具合が発生しているのかの原因究明や、私たちがどこまでサポートするかというスタンスも含めて、相当難しいのですが、その切り分けに関しては、ベリサーブさんのノウハウに大変助けられています。

渡辺 アプリの不具合以外でも、検証中の気付きや改善提案を共有いただけるのがありがたいです。画質などのコンテンツの劣化からUIデザインに至るまで、バグ以外でもユーザーが目にするところはたくさんあります。そういった観点での気付きを報告いただけることで改善点として次のアプリに反映できるので、ユーザーの体験を重視する私たちとしては、非常に助かっています。

迅速な対応、きめ細かなサポートを評価

渡辺 コミュニケーションの部分では、SlackやBacklogを使ってやり取りしていますが、いつも迅速に対応していただけるのでありがたいです。おかげで、不具合に対してタイムリーに対応でき、完全に修正した上でリリースを行うことができています。

インタビュー風景3

──OSや機種などの適用範囲の決定は難しい部分かと思いますが、どのように判断されているのでしょうか。

上川 技術的にカバーできない、もしくは、端末側でメモリが足りない、などさまざまなケースがあります。技術がどんどん進化していますし、お客様の環境も本当に多岐にわたるのでもちろん全部は拾えないです。そこは、技術的な観点というより、ユーザーベースにのっとって判断していますが、ここは仕方ない、ここは救わないといけないという線引きは本当に難しいですね。ベリサーブさんからフィードバックいただいた情報を基に僕らの中でいつも議論しながら決めていく作業を行っています。決定する際には、ベリサーブさんのアドバイスを役立てています。

──2020年から継続的に参画させていただいている中で、さまざまな機能追加があったと伺いました。どれくらいのペースで依頼いただいているのでしょうか。

上川 計画的に進めているプロジェクトでの依頼もありますが、どちらかというと、イベント起点で、各イベントに対応するために必要な機能を追加していく、ということが多く、個別の対応が入り乱れている状況です。そのバージョン管理が大変な部分についてもベリサーブさんに対応いただいています。

渡辺 依頼のペースは、平均すると2~3カ月に1回くらいのペースくらいかなと思います。

上川 大きめな機能追加以外にも、バグフィックスのようなネガティブな対応や、小さなバージョンアップへの対応など細々とした依頼もあります。

自動化導入も視野にさらなる品質向上を目指す

──ベリサーブに対して課題を感じている点や、今後へ向けた要望や期待があればお願いします。

渡辺 課題については、特に大きなものはなく、逆に細かいところを全部すくってもらってサポートいただいているので、検証期間は非常にスムーズに進めることができています。
強いて言えば、よりざっくばらんにコミュニケーションができると、そういった会話の中から潜在的な課題なども出てきたりする気がします。
コミュニケーションのところで言うと、いつも議論になるのが端末の話です。どの端末をサポートするのかという点を、毎回打ち合わせのタイミングでベリサーブさんと相談して進めていますが、例えばiPhoneの新モデルなどは発売タイミングが事前に分かるので、こまめにやり取りをすることで、早めに手配を進めていただけるかなと思います。
最近は、ベリサーブさん側でスマートフォンデバイスのラインアップをだいぶそろえていただいているので、ほぼカバーできるくらいそろってきています。当社用に準備していただいているのではと少し心配になります(笑)。

上川 ベリサーブさんに依頼する際には、当然ですが、テスト項目をしっかり見てください、とお願いするのですが、テスト項目だけでは気付かないところや、私たちの中だけでは漏れている部分もあると思います。ベリサーブさんとは長いお付き合いになるので、ユーザー目線での気付きを指摘していただくのと同時に、もっとこうしたほうがいという提案も頂けると、今後もより良い関係で仕事をしていけると思うので、期待しています。

渡辺 これは少し大き目な期待になってしまうかもしれないのですが。現在、社内の課題の一つに、リリース後の不具合の修正をどう対応するかという点があります。テストの中で見つけられなかった不具合が出た場合にパッチを当てて不具合を修正するのですが、ベリサーブさんにテスト対応いただいた場合と、私たちのほうで対応した場合でクオリティに差が出てしまいます。今後、ベリサーブさんのほうでテスト自動化の仕組みを用意いただいて、品質を一定化できると非常に助かると思っています。

上川 テスト自動化が実現する場合は、それによってコストダウンの方向にも持っていけるとさらにありがたいです。

インタビュー風景4

──「XR CHANNEL」およびSoVeC全体の今後の展望をお聞かせください。

上川 「XR CHANNEL」は、プラットフォームをもっと拡大して、ビジネスとして今よりも成長させないといけないと考えています。現状まずはビジネスを立ち上げる段階ですが、さらにサービスポートフォリオを広げるべく「XR CHANNEL」以外でも、現在仕込んでいる案件もあります。

渡辺 SoVeCでは新しい技術を使った事業展開をこれからも進めていく予定ですので、今後もベリサーブさんとご一緒できるとうれしいです。

──ありがとうございました。

取材にご協力いただいた企業様

社名 SoVeC株式会社
URL https://www.sovec.net/

SoVeC株式会社