Cases
ポーターズ株式会社様 導入事例
オフショアを活用した自動テストの導入から運用までを
当社がコンサルティングし、
機能テストに関わる時間・コストを大幅に削減

『テクノロジーで世界の雇用にもっとも貢献する』をビジョンに掲げ、人材ビジネス向けのクラウドサービス「PORTERS」を日本国内および海外に向けて開発・提供しているポーターズ株式会社様(以下、ポーターズ)。
「PORTERS」の導入実績は、海外12カ国を含む人材紹介・派遣企業を中心に2,200社を超えています。
べリサーブは、「PORTERS」の自動テスト導入を支援しており、サービスの品質向上とリリースサイクルの効率化に貢献しました。
ベリサーブに依頼した背景やベリサーブの支援による成果について、同社Product & Service Unit ゼネラルマネージャーの大石 光洋 様と、Product & Service Unitの山内 崇泰 様にお話を伺いました。
業種
人材紹介・派遣企業向けクラウド業務管理システムの開発・提供
導入サービス
テスト自動化の立ち上げ、運用支援サービス、コンサルテーション
ご担当者インタビュー

大石 光洋 様
Product & Service Unit ゼネラルマネージャー

山内 崇泰 様
Product & Service Unit
人材紹介・派遣企業に特化したサービスに自信あり
──まず御社の事業とサービス概要について教えてください。
大石:
当社は人材ビジネスに特化したクラウドサービス「PORTERS」を提供しています。2001年の創業当時、まだ大半の人材ビジネス業界が業務システムをオンプレミスでスクラッチ開発しており、その開発に失敗するケースが多々ありました。そうした状況を見た当社の代表が、「人材ビジネス業界に共通するベストプラクティスを手軽に利用できるサービスがあれば、多くの企業の役に立てるのではないか」と考え、「PORTERS」のサービスを立ち上げました。

──御社のサービスは他社のそれと比べて、どのような強みを持っていますか?
大石:
「人材紹介・派遣企業に完全に特化して設計・開発している」という点が最大の強みです。最近では大手SaaS(Software as a Service)ベンダーも人材ビジネス業界に新たに参入するなど、競合企業も増えてきていますが、当社は以前から一貫して「人材ビジネス」という業態に特化した業務プロセスをサービスとして提供し続けてきた点がお客様から高く評価されています。
サービスの内容も万人受けするものだけではなく、人材ビジネス業界のユーザー特有の困り事を解決できる機能を実装してきました。もちろんまだまだ足りないところはありますので、より今の時代に合った技術を取り入れながら、ユーザーが求めている以上のものを提供していけるよう、日々開発に取り組んでいます。
テスト工数の増大がシステム開発と事業スピードの足かせに
──製品・サービスの開発体制について教えてください。
大石:
現在、開発メンバーは全体で40人前後います。大きく分けると二つのグループがあり、「PORTERS」本体のCRM(Customer Relationship Management)システムを開発するグループと、CRMだけではカバーできない周辺機能を開発するCXE(Customer Experience Evaluation)グループとなっています。
その中で、山内がQAエンジニアであり、実際のテストに関する業務をベトナムのオフショアベンダーに委託しています。山内を中心に社内でテスト計画を策定し、それを基にテストケースを社内のメンバーとベトナムの担当者が一緒に作成しています。

──ベリサーブが支援に入る以前、テストに関してどのような課題がありましたか?
大石:
サービスの新機能をリリースするたびにテストケースの量が増えてきており、想定していない箇所から不具合が発生するケースも目立つようになってきました。
新機能のリリースやミドルウェアのバージョンアップの際に行うリグレッションテスト※1を、それまでは主に人手で行ってきたのですが、テストケース数の増大に伴い、リリース前のテストに2カ月以上を費やすこともありました。また、人手のテストではカバーできない部分から思いもよらない不具合が発生することもあり、人手だけに頼るリグレッションテストに限界を感じていました。
テスト実行期間が長期化するとその分、サービスのリリースも遅れてしまうため、お客様へタイムリーに価値を提供できなくなり、ひいてはビジネス全体の足を引っ張ってしまいます。コストの観点からも、増え続けるテスト工数を人手だけで行っていくのは徐々に難しくなっていました。そこで数年先の将来までを見据えて、テストのやり方をどのようにアップデートするべきか検討を始めたのです。
※1 ソフトウェアの一部を変更や修正した際、変更や修正によって既存の機能に意図しない不具合が生じていないかを確認するためのテストのこと。
──そうした中で、自動テストの導入に取り組もうと考えたそうですね。
大石:
はい。増え続けるテストケースのための作業を限られた人員で短期間のうちに実施すべく、2024年から「MagicPod」というテスト自動化ツールを導入していました。ただし、それまで手動で行ってきたテスト実行をそのまま自動化したため、本来はリグレッションテストで確認する必要がないテストケースまでテスト実行していました。例えば、画面の文字列が少し変わった程度の箇所でも毎回自動テストを行っており、必要なテストケースと不要なテストケースの切り分けなどに課題を抱えていました。
こうした自動テスト特有の課題を解決するには、やはり実績と知見を豊富に持っているテスト専門会社の支援を仰ぐのが最も効果的だと考え、複数社を比較検討した結果、最終的にはベリサーブさんにコンサルティングの立場で入っていただき、自動テストの設計から実装、運用フェーズまで支援していただくようご相談しました。

実績とコミュニケーションを重視
──ベリサーブを選んだ最大の決め手は何だったのでしょうか?
大石:
ベリサーブさんがAIテスト自動化プラットフォーム「MagicPod」に関する高い知見をお持ちだったことが理由です。加えて、当社は「MagicPod」を使った自動テストに関する作業をベトナムのオフショア先に委託していたのですが、言葉や文化などの壁もあって不安に感じていました。その点でも、経験豊富なベリサーブさんであればオフショア先の担当者とうまく連携しながら作業を進めてもらえそうだと考えました。
──ベリサーブと共に行った自動テストの導入は、具体的にどのように進めていったのでしょうか?
大石:
「PORTERS」はシステム構成が複雑で機能も多いため、まずベリサーブの担当者にシステム仕様を理解してもらうことから始めました。人材紹介・派遣企業のシステムはニッチな領域ですから、当初は業務やシステム仕様を理解するのにかなり苦労されたと思います。しかし、担当者が非常に素早くキャッチアップしてくださり、大変助かりました。
その後、ベリサーブさんから「こういう箇所をテストした方がいい」という提案を頂き、その内容に基づいて両社で具体的なテスト範囲やアプローチを詰めていきました。大まかなテスト方針が決まった後、ベリサーブさんがテスト分析から設計までを担当し、テストケースを「MagicPod」にテスト実装しました。テスト実行は、べリサーブさんとベトナムのオフショア先で実施しました。
──プロジェクトを進める上で、特に工夫された点はどの辺りでしたか?
大石:
プロジェクト開始当初は、日本側とベトナム側との間のコミュニケーションがなかなかスムーズに運ばず、余計な時間を費やしてしまったこともありました。そこで、プロジェクトを進めながらコミュニケーションの取り方を工夫していった結果、最終的には効率的に業務が回るようになりました。
山内:
ベトナム側のメンバーは当然日本語が第一言語ではありませんから、言葉の細かなニュアンスが伝わらずに認識の齟齬(そご)が生じる可能性もありました。このため、私が双方の間に立って緩衝材になることで、コミュニケーションに関わるリスクを回避していました。

テスト実施期間が3カ月から2週間程度に大幅短縮
──自動テストの導入により、どのような成果が得られましたか?
大石:
2024年9月から取り組みを始め、2025年1月ごろにはかなり高い精度で動く自動テストの環境が一通り構築できました。その3カ月後にセキュリティのアップデートがあった際、これまで実施していたテストでは発見できなかった不具合をいくつか見つけることができました。自動テストによって不具合や問題点を事前に発見できたことは大きな収穫でした。
さらにテスト実行期間の大幅な短縮にもつながりました。手動で全てのテストを行っていたら3カ月はかかっていたものが、自動テストにより2週間で終えられるようになりました。テスト実行期間が短くなることで、リリースまでの時間も短くなったので、当社がお客様に提供したい価値をこれまでより早くマーケットに投入できるようになりました。
山内:
QAエンジニアとしては、テストサイクルの短縮に加え、手動テストでは見つけられないバグの検出率や製品の安定性の向上を実現できた点も大きな成果ですね。例えば、リグレッションテストを自動化したことで、テスト実行期間中に見つかったバグを修正した後、再度テストを実行できるようになりました。また、バグ修正によるデグレード※2の有無をテストで確認し、そこで見つかったバグをさらに修正し、またテストを実行するというサイクルが確立できたことで、製品やサービスの品質をより高められたと思います。
※2 システムの改修や機能追加などにより、変更前は正常に動いていた他の機能に問題が生じてしまう状態のこと。
──ベリサーブからの提案で特に役立ったものは何でしたか?
山内:
私たち自身も「MagicPod」についてそれほど深い知見があったわけではないので、ベリサーブさんから頂いた「MagicPod」に関するアドバイスや提案は本当に勉強になりました。例えば、テスト手順を見直し、複数のテストケースを並列化することでテスト実行期間を縮める方法や、テストケースの更新を抜け漏れなく確実に行う方法など、テスト業務をより効率的に行うためのさまざまな知見やノウハウを、それこそ毎日のように教えていただきました。

──今後のQA、テスト活動の計画や展望についてお聞かせください。
大石:
より早くお客様に当社のサービスの価値を届けるには、QAやテストは大切な取り組みだと考えています。今回の自動テストの導入によりその品質や効率性を大きく底上げできました。一方でまだカバーしきれていないテストケースも多数残っているため、今後も自動テストの範囲を広げる余地があると思っています。特に細かなバグを発見するためのテストは、自動化をさらに加速できるはずだと思っています。
そういった細かいバグを発見する作業はテスト自動化ツールに任せて、人間はもっと本質的なQA活動、例えば「本当にこれを世に出していいのか?」といった品質課題を考えることに取り組みたいです。これを実現するためにも、今後さらに自動テストの導入をすることで、細かなバグを発見することが加速できるはずと考えています。
山内:
今回は「PORTERS」の一部の機能、特にお客様が頻繁に使う機能に限定してテストを自動化しました。そのため、それ以外の機能や周辺アプリケーション、管理コンソールなど、ユーザーの操作頻度があまり多くない部分は今回の自動テストの対象外でした。今後はUI(User Interface)/UX(User Experience)の面で、ユーザーが直感的に分かりやすく操作できるようリニューアル予定のため、その領域での自動テストの導入を拡大していきたいと考えています。
──ありがとうございました。
取材にご協力いただいた企業様
社名 ポーターズ株式会社
URL https://www.porters.jp/

掲載内容は2025年5月時点のものです。
掲載されている製品名、会社名、サービス名、ロゴマークなどは全て各社の商標または登録商標です。