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【シリーズ】世界のソフトウェアテストカンファレンス:ICST(第3回)

【シリーズ】世界のソフトウェアテストカンファレンス:ICST(第3回)

本シリーズでは、世界中で開催されているソフトウェアテストのカンファレンス情報をお届けします。

第3回は、学術系のソフトウェアテストのカンファレンスとして最もメジャーな「ICST」をご紹介します。

カンファレンス概要

ICSTの正式名称は、IEEE International Conference on Software Testing, Verification and Validationで、米国に本部を置く国際的な電気・情報工学の学術研究および標準化を担うIEEE(アイトリプルイー)が主催しています。

2008年にノルウェー・リレハンメルで第1回が行われて以来、世界各地で年次開催されています。

「ICST 2008」のプロシーディング(予稿集)の中で、ソフトウェア品質に関心を持つ研究者や実務者が一堂に会する単一のイベントを提供すること、ソフトウェア品質の多くの分野から質の高い論文を出版することを開催目的として言及しています。2008年の技術的なトピックとしては、テスト駆動開発、モデルベースソフトウェアテスト、ドメイン固有のテスト(例:サードパーティコンポーネント、データベースなど)、テスト技法とその費用対効果の実証的研究、テスト技術の技術移転など、広い分野をカバーしており、いずれも現在に通じる技術ばかりです。

世界各地で開催されているICSTですが、日本では2017年に早稲田大学の西早稲田キャンパスで行われました。

「ICST 2017」(https://www.aster.or.jp/conference/icst2017/index.html)では、ベリサーブがスポンサーとして協力すると共に、当社社員が運営委員としても貢献しました。

キーノートスピーチやプログラム構成

2024年5月に開催予定の「ICST 2024」のWebサイト(https://conf.researchr.org/home/icst-2024)を参照し、どのようなコンテンツで構成されているかを見ていきましょう。

トップページには、次のように記載されています。

世界中の研究者、科学者、エンジニア、実践者が、ソフトウェアのテスト、検証、妥当性確認分野における最新の研究結果、アイデア、開発、応用を発表する共通のフォーラムを提供することを目的とする。ICST 2024では著名な研究者による基調講演のほか、特別セッション、通常セッション、ポスターセッションがある。全ての研究論文は提出原稿が査読され、品質、独創性、関連性に基づいて受理するかどうか決定される。受理された研究論文は、IEEE カタログ番号と ISBN 番号とともに予稿集に掲載される。予稿集は IEEE Xplore にも掲載される。

目的そのものは、2008年の初回から継承されていることが分かります。

また、11のワークショップが併催されており、中でもInSTA : International Workshop on Software Test Architecture (https://www.aster.or.jp/workshops/insta2024/)は、日本の研究者がGeneral Chairとして取りまとめていると共に、複数の日本人研究者がプログラム委員として活動しています。

次に、9つから構成されるトラックを概観します。

<Doctoral Symposium>

  • ソフトウェアのテスト、検証、妥当性確認に関連した論文研究を行う博士課程の学生に、建設的なフィードバックと指導を提供。
  • 研究者の協力的なコミュニティを発展させ、潜在的な協力者を得る。
  • 学生と本分野の著名な研究者や実務家との交流を促進。

<Industry>

  • ソフトウェアのテスト、検証、妥当性確認の全体において、業界の専門家が重要な役割であることを認識する。
  • イノベーション、品質、実用性というカンファレンスの包括的なテーマとシームレスに連携。

<Journal-First Papers>

  • ジャーナル誌掲載に選ばれた論文の著者が、研究について発表し聴講者と議論する機会。

<Keynotes>

4名の著名な研究者によるキーノート(発表内容は2024年1月時点では未公開)。

  • Lin Tan教授 Purdue University(アメリカ インディアナ州立総合大学) Department of Computer Science
  • Sam Malek教授 アメリカ University of California at Irvine School of Information and Computer Sciences
  • Danny Tarlow博士 Staff Research Scientist Google Brain 
  • Lionel Briand教授 カナダ University of Ottawa, アイルランド University of Limerick

<Posters>

  • 研究者や実務者がソフトウェアのテスト、検証、妥当性確認の分野における最新の進歩、アイデア、経験、課題を発表、展示、議論する機会。

<Research Papers>

  • ソフトウェアのテスト、検証、妥当性確認のすべての分野で質の高い研究論文の提出が求められる。
  • 本トラックで発表される論文は最先端技術を前進させる斬新で独創的な研究を発表する必要がある。
  • ケーススタディや実証研究論文も歓迎される。

<Student Volunteer>

  • 学生ボランティアによる発表や議論の場。

<Testing Tools and Demonstration>

  • 最先端かつ実践的に進化するソフトウェア テストツールとそのデモンストレーションにより、研究と実践の間のギャップを埋めることを目指す。
  • 学術界と産業界の両方から、有望な研究プロトタイプ、広く使用されている研究ツール、商用ツール (科学的知識に貢献する場合に限る) など、いくつかの成熟段階にあるツールを紹介する。
  • 対処する問題の複雑さ、解決された技術的課題、およびツールが実際に機能することの検証(例:過去に発表された研究成果や新しい実験によるもの、業界でのツール利用での質の良い経験など)を明確に論文で説明する必要がある。

<Workshop>

  • 参加者が予備結果を交換し、焦点を絞ったトピックについて集中的なディスカッションを行い、テストコミュニティのメンバー間の作業を調整するための協力的なフォーラムを提供するための11のワークショップ(A-MOST、AIST、CCIW、ITEQS、IWCT、InSTA、MODAL、Mutation、NEXTA、TestADS、TestEd)が行われる。

次回(2024年)のカンファレンス

  • ICST 2024(https://conf.researchr.org/home/icst-2024) 参加登録受付中(2024年2月現在)
  • 開催日時:2024年5月27日~31日 
  • 会場:カナダ・トロント、ヨーク大学 Second Student Center

おまけ

2019年4月22日~27日に中国・西安で開催された「ICST 2019」(http://icst2019.xjtu.edu.cn/)にて、本コラム執筆担当が現地で撮影した会場と周辺の観光地の写真です。

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