【シリーズ】世界のソフトウェアテストカンファレンス：STAR（第1回）

カンファレンス STAR

カンファレンス概要

STARの正式名称は「Software Testing Conference」といい、毎回ソフトウェアテスト業界を牽引している有名人による講演や、勢いがあるテストに関わる開発者たちが発表する、世界最大級のソフトウェアテストに特化したカンファレンスです。
https://www.techwell.com/software-conferences/star-software-testing-conferences

初回は、1992年に米国のラスベガスで開催され、翌1993年は英国・ロンドンで開催されています。

現在米国内では、西海岸と東海岸にてTechWell Corporation社の主催によるSTAR WEST（https://starwest.techwell.com/）とSTAR EAST（https://stareast.techwell.com/）が、ヨーロッパでは、コミュニティベースでEuroSTAR（https://conference.eurostarsoftwaretesting.com/）が毎年開催されています。

裏話ですが、欧米で開催されていたSTARのようなソフトウェアテストをメインテーマとしたカンファレンスを日本でも行いたい思いを持つ有志が集まり、2003年に第1回目のJaSSTの開催へとつながったそうです。

キーノートスピーチやプログラム構成

STARでは、ソフトウェアテストの最新トピックやトレンドに関するキーノートスピーチが著名なスピーカーによって行われています。

直近のSTAR WEST（2023年10月1日～6日、カリフォルニア州アナハイム・ディズニーランドホテル）の開催情報を基に、どのようなプログラム構成であるかを見てみましょう。
https://conferences.techwell.com/archives/starwest-2023/

キーノートスピーチは5本あり、生成AIに対して行うテストや、テスト自動化、テストのスキルなど幅広いトピックが取り上げられています。

・EPAM社のバイスプレジデントTariq King氏によるタイトル「The Rise of Generative AI: Judgment Day」

ちなみに、King氏はJaSST’19 Tokyoの基調講演を「AI-Driven Testing: A New Era of Test Automation」というタイトルで行っています。

https://www.jasst.jp/symposium/jasst19tokyo/details.html

コンサルタントであるHajer Ben Moussa氏によるタイトル「Test Automation and Boxing: A Surprising Combination」
Guardant Health社のAprajita Mathurによるタイトル「Bootstrapping a Tester's Journey」
TechWell Corp社のAlison Wade氏によるタイトル「Lightning Strikes the Keynotes」
Northern Test Consulting AB社のKristoffer Nordström氏によるタイトル「How My Testing Skills Served My Personal Life」

プログラム構成としては、プレゼンテーションだけではなく、チュートリアルやスポンサーによる展示も実施されました。初日から3日目まで午前8時半から午後5時までにわたり、多くのチュートリアルが行われました。

ISTQB（https://www.istqb.org/）やICAgile（https://www.icagile.com/）の資格関連のものがあれば、アジャイルやDepOps、テスト自動化などに特化したもの、APIのテストやWebセキュリティのテスト、探索的テストなどなど、バラエティー豊かです。

カンファレンス本番でのキーノート以外のセッションもチュートリアルと同様に、さまざまなトピックが取り上げられています。Webサイトのトピックを切り取ると以下の通りです。

テストのためのAI/機械学習、テストトランスフォーメーション、テストの自動化、リーダーシップ、アジャイルテスト、継続的テスト、セキュリティテスト、テスト戦略と計画および測定基準、DevOpsとテスト、パフォーマンステストとモニタリング、探索的テスト、これら以外のプログラムとして、カンファレンススポンサーによる展示会（2日間）とIndustry Technical Presentationsとして、ツールやサービスなどを紹介するセッションが行われています。

展示会（EXPO）参加のメリットとして、以下のことがWebサイトには記されていますが、結構前向きなメッセージが多いように感じます。

テストにおける最新のソリューション、テクノロジー、ツールを探そう
今最も革新的な組織を代表する方に質問を用意した上で1対1で会おう
セッションの休憩を楽しみつつ、STARWESTの講演者や参加者とネットワークを築こう
新しいスキルを学び、ソリューションを発見し、業界の技術プレゼンテーション中にライブデモに参加しよう
エキスポ内を旅して楽しいゲームを楽しみ、刺激的な賞品を獲得するチャンスを手に入れよう

次回（2024年）のカンファレンス

最後にSTAR EAST、WEST、EuroSTARそれぞれの次回開催情報をご紹介します。

STAR EAST　 https://stareast.techwell.com/
2024年4月28日～5月3日　オンラインとのハイブリッド
米国フロリダ州オーランド・Rosen Centre Hotel
プログラム詳細は上記Webサイトにて公開中
STARE WEST https://starwest.techwell.com/
2024年9月22日～9月27日　オンラインとのハイブリッド
米国カリフォルニア州アナハイム、ディズニーランドホテル
プログラム詳細は未公開状態（2024年1月29日現在）
EuroSTAR　https://conference.eurostarsoftwaretesting.com/
2024年6月11日～6月14日　オンサイト開催
スウェーデン・ストックホルム、ストックホルムスマサンコンベンションセンター
プログラム詳細は上記Webサイトにて公開中

プログラムチェアのマイケル・ボルトン氏は、JaSST’2015 Tokyoにて「How To Get What You Want From Testing」というタイトルで基調講演をしています。

基調講演　https://jasst.jp/symposium/jasst15tokyo/details.html#H1
記事　https://gihyo.jp/news/report/2015/03/0201

この記事を書いた人

執筆
大西建児
株式会社ベリサーブ　広報・マーケティング部。大手電機メーカー、外資系通信機器機メーカーでソフトウェアテストや品質保証などに携わった経験を活かし、テスト自動化の推進、テストプロセスやソフトウェア品質改善に関するコンサルテーションなどを行う。その後、業界で培ったネットワークや知見をベースに広報・マーケティング部門にて活動中。また、コミュニティ活動や講演・執筆などにも精力的に取り組む。ISTQBではAdvanced Levelワーキンググループを中心にシラバス策定／執筆に携わっている。NPO法人ソフトウェアテスト技術振興協会（ASTER）副理事長、JSTQB（テスト技術者資格認定）日本代表、技術委員会副委員長など。『ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation 第4版シラバス2018対応 EXAMPRESS』共著、『ステップアップのためのソフトウエアテスト実践ガイド改訂版』著、『ビューティフルテスティング ―ソフトウェアテストの美しい実践』監訳など。