Cases

日本デェイブレイク株式会社 導入事例

現状に即した品質管理手法としてODC分析を活用し
「品質そのものを向上させる」という考え方が組織に浸透した

独立系ソフトウェアベンダーとして、企業向け情報システムの企画・開発・導入・運用・保守等を行っている日本デェイブレイク株式会社(以下、NDB)様。好調な業績を背景に、大手企業との強力なアライアンスにより業務の拡大を図っています。
そんな同社が、今後のさらなる成長の鍵と考えたのがソフトウェアの品質です。これまでベテランのエンジニアに頼りがちだった品質改善を組織全体に浸透させたいとの思いから、ベリサーブにコンサルティングをご依頼いただきました。
ここでは、NDBの経営層および開発現場のご担当の双方に、実際にコンサルティングを受けた感想やその成果について伺いました。
聞き手:山﨑 崇(ベリサーブ ソフトウェア品質コンサルティング部 シニアコンサルタント)

日本デェイブレイク株式会社のロゴ

日本デェイブレイク株式会社様 導入事例

業種

 システム開発

導入サービス

 品質コンサルティング ODC分析

経営層インタビュー

NDB佐藤様

佐藤 一宏 様

2021年4月よりNDB勤務。同社取締役として品質管理や業務効率化などを担当するほか、社内横断組織である品質管理委員会を運営。

NDB松戸様

松戸 強 様

取締役として営業部を統括。営業戦略の立案・活動や、顧客対応全般に携わる。佐藤氏と共に品質管理委員会を主導。

■感じていた課題とコンサルティングへの期待

──今回の事例を振り返るに当たって改めての質問ですが、ベリサーブにコンサルティングをご依頼いただいた背景には、どのような課題があったのでしょうか?

佐藤 自社の企業価値を高め、競争力を付けるには、自社の品質を底上げする必要があると考えたからです。品質面で問題を抱えていたわけではなく、クライアントからの信頼を高め、ブランドイメージを上げていくには、やはり今以上に品質を上げていく必要があると。その考えのもとに、昨年に「品質管理委員会」という社内組織を立ち上げ、全社的に品質向上に取り組んでいます。

──自分たちが開発するシステムやソフトウェアの品質こそが、競争力の源泉になるということですよね。

佐藤 そうですね。消費者が農産物で国産品を求めたり工業製品で一流メーカーの製品を購入したりする理由に、「安全性や信頼性が高い」というイメージがありますよね。システム開発においてもそういう高品質やそれに伴うブランド力を実現することが、NDBの強みになるのではないかと思っています。

松戸 課題感について少し現場寄りの立場から言うと、売上を拡大したいという営業的な考えがまずありました。そのためにクライアントや案件を増やしていく中で、新しい領域や関係性が築けていない相手に対して、自分たちの品質をうまく説明できないケースが出てきました。品質を作り込んでいないわけではなく、品質を分析して客観的に語るという部分が不足していたんですね。
その結果、品質への不安視を解消するために、自前で膨大な量の品質対策作業を実施するという非効率が生じていまして。現場への負担も増える一方だったので、なんとかしたいという思いがありました。

インタビュー風景

──そうした課題感がある中で、ベリサーブにご相談いただいたと。

佐藤 そうですね。私は前職で保険会社のシステム部門にいたのですが、その時代にベリサーブさんとお付き合いがあって、テストプロセスの診断や改善など品質向上をご支援いただいて効果を実感していた経験があります。
当時は品質に関する戦略や理論、技法の不足といった課題感がありました。NDBに入ってからも前職時代と同じような課題を感じたので、コンサルティングを受けるのが効果的なのではないかと考えました。テストプロセス診断によって自分たちの実力を客観的に見てもらい、弱み・強みを明確にした上で改善活動を実施することが課題解決につながるのではないかと。

松戸 私はこれまで品質に関してコンサルティングを受けた経験はなかったのですが、先ほど言ったような課題感を持っていた時に、佐藤から「以前こういうことをやっていたよ」と話を聞いて、「ぜひお願いしたい」ということで。

──ありがとうございます。ちなみに、佐藤様が前職でベリサーブのコンサルティングを受けた際は、どういう部分を評価していただいたのでしょうか?

佐藤 会社の現状に即して具体的なアドバイスをもらえた部分ですね。一般的な理論や手法だけならば、インターネットや書籍などでいくらでも調べられますが、それだけでは問題の解決にはなかなかつながりません。その点、ベリサーブさんには「自分たちには何が不足していて、それを補うにはこういう方法がある」という具体的な提案をしてもらえました。ですので、今回NDBとしてコンサルティングをお願いした時も、そのような現実味のあるアドバイスを期待していました。

──松戸様はベリサーブにご依頼されるに際してどのようなことを期待されましたか? コンサルティング未経験ということで不安もあったかと思いますが。

松戸 実際に利用経験のある佐藤が厚い信頼を寄せていたので、経験や知識の面では心配していませんでした。ただ、うちの規模の会社に対して、どこまで真剣に話を聞いてくれるのか、向き合ってくれるのかという懸念は、正直ありました。 しかし、初回にお会いして色々と話をする中で、その懸念は解消されました。こちらが話した課題に対する理解も早いですし、アドバイスも即座に出てきてなおかつ的確なので、「豊富な経験があるんだな」と感じました。また、我々が抱えている課題が特別なものではないと言ってもらえたので、コンサルティングに対してとても前向きな気持ちになりましたね。

■ODC分析によって自社の品質を可視化

──今回ベリサーブのコンサルティングを受けて得られた効果はいかがでしたか?

佐藤 課題解決のための手法として今回は「ODC分析」をご提案いただきましたが、それが非常に効果的だったと思います。これまでの分析では定量的な評価というか、欠陥の数が多い・少ないといった部分で止まっていました。ODC分析を用いて欠陥の属性まで確認することで、品質そのものを向上させるという考え方ができるようになったと思います。

※ODC分析:Orthogonal Defect Classification(直交欠陥分類)による欠陥分析手法。欠陥を多角的かつ排他的な属性によって分類(タグ付け)し、定量・定性的に分析する。欠陥領域を特定するだけでなく、それが作り込まれた開発工程まで特定可能であることが特徴

松戸 私も同感です。ODC分析によって欠陥に属性を付けて分類することで、何か問題が起こった時にどこに手を入れればいいかが誰が見ても分かるようになりました。これは現場の人間からも分かりやすいと評判でした。

──確かに、ODC分析はある意味「品質を可視化する」ことに適した手法なので、自分たちがやっていることを客観的に把握できるという観点からも、現場の人に受け入れられやすかったのかもしれませんね。

佐藤 そうですね。あとは、まったく新しい手法をゼロベースで身に付けるのではなく、これまでやってきたことの延長線上でODC分析を取り入れられたのも良かったんだと思います。現場の者もこれまでも欠陥の分析はそれなりにやってきていたので、ODCによって1件ごとの欠陥に属性を付けることで、分析の精度や応用の幅が広がり、これまでやってきた分析をレベルアップできた感覚があるんじゃないでしょうか。

松戸 レビュー技法も教えてもらって、今まで効果がよく分からなかったレビューが、実はいろんなところで効果があることが理解できるようになったのも良かったと思います。「自分たちが今やっている作業はこれだけある中のこの部分」というのが可視化できたのも、現場に受け入れられた理由だと思いますね。

──今後、品質に関してコンサルティングを受けるとしたらどんなことを期待されますか?

佐藤 この種の取り組みが単に座学的な研修で終わってしまうと、「言っていることは分かるけど、現実的には難しい」といった空論になりかねません。具体的な解決策の提案や活動支援をしてもらうこと、そして、助言を受けた者が「以前より良くなった」と実感できる指導をお願いしたいと思います。

松戸 「個々のスタッフの品質におけるリテラシー」や「プロジェクトの品質成熟度」みたいなものを、スコアリングできる仕組みがあればぜひ活用したいですね。コンサルティング前後でスコアの比較ができると、現場のやる気にもつながりますし、費用対効果を社内で示しやすいですし。

■経営と現場のベクトルが合致していたことでより高い効果が

──今回サービスを提供した身として印象的だったのは、貴社の品質改善の取り組みにおいて経営層と現場の方々のベクトルが合致していたことです。目指す方向が共有できていると、コンサルティングの成果も高く出るのだなと実感しました。
それでは最後に、NDBは今後どのような組織になっていきたいとお考えなのか、お聞かせいただければと思います。

佐藤 品質の良い成果物を作ることが、クライアントからの信頼が得られ、それが売上拡大や自社の成長につながるものと思っています。品質向上に取り組むことで会社のブランド力が上がり、「NDBに依頼して良かった」「NDBがいないと困る」と言ってもらえるようになりたいと考えています。

松戸 「品質向上が生産性向上に直結している」という考えは以前から持っているので、ODC分析を主軸に品質向上施策を練り、現場へ浸透させていきたいと思っています。取引先に対しても品質が高いことをアピールして信頼を高めていき、最終的には「品質に向き合い、さまざまな活動を通して、高い品質を保証する会社」と認知してもらえるようになりたいですね。

現場ご担当者インタビュー

NDB大橋様

大橋 圭司 様

営業部にて顧客管理責任者を務めるほか、社内の品質管理委員会のメンバーとして運営サポートも行う。

NDB野口様

野口 航 様

官公ソリューション事業部に所属し、プロジェクト管理者を務める。品質推進グループ。

NDB林様

林 邦彦 様

官公ソリューション事業部に所属し、野口氏とともにプロジェクト管理を担当。

■最初は現場担当の工数が増えるだけではないかという懸念も

──ここまで、NDBの品質向上の取り組みについて佐藤様と松戸様に経営層としての考えを伺ってきました。ここからは、実際にプロジェクトで改善活動に携わった当事者の方々に、現場担当として感じたコンサルティングの印象や効果についてお話を聞いていきたいと思います。
まずは皆さんの立ち位置といいますか、品質への取り組み上の役割を確認させてください。

大橋 私は開発現場の直接的な担当ではないのですが、NDBの品質向上を推進するプロジェクト横断組織「品質管理委員会」のメンバーとして、各プロジェクトのメンバーがざっくばらんに意見交換できる場を運営しています。

林 私と野口はコンサルティング内容の実践者といった立場ですね。教えてもらったODC分析を実際の担当プロジェクトで使いました。

野口 「品質管理委員会」が全社的な品質改善への取り組みであるのに対し、我々はプロジェクトの現場で品質改善に取り組んでおり、ODC分析の手法を事業部内に広める活動もしています。

インタビュー風景

──今回コンサルティングを受けるに当たって、ベリサーブに期待されたのはどんなことですか?

野口 上流工程で欠陥を減らすことが開発全体の効率化につながるので、設計工程での品質向上を期待していました。

林 知識面での期待もありました。エンジニアとしての知的好奇心というか、自分たちが知らない手法などを教えてもらえれば、現在抱えている課題だけでなく、今後にも活かせるのではないかと。

大橋 外部の人に入ってもらうことで、新しい風というか、新しい視点・知見を吹き込んでもらえるといいなという思いはありました。それによって社員と会社が成長できれば、お客様満足度の向上にもつながりますから。

■課題解決の最適解としてODC分析を採用

──実際にコンサルティングを受けた率直な感想を聞かせてください。

野口 正直言うと、コンサルティングを受けることで自分たちの作業工数が増えるのではないかという不安はありました。実際に受けた感想としては、ODC分析という、自分たちにとって新しい品質分析手法を修得できたことに一番の成果を感じています。これまでと違う角度で分析ができるようになったのは良かったですね。

林 第三者からの視点で、自分たちのどういう部分が弱いのか、課題やリスクを分析してもらって、それに対して自分たちはどう改善していくかというアクションプランを具体的に検討できたのも良かったです。

──少し補足させてもらうと、今回はODC分析ありきのコンサルティングだったわけではなく、毎週1回打ち合わせをして、その時その時で取り組んでいることや困っていることを共有いただいて、出てきた課題を整理整頓していく中で、今回はODC分析を使ってみませんかという提案に行きつきました。

野口 そうですね。結果としてそれがとてもうまくいって。事業部内全体に、ODC分析という用語自体が浸透している実感もあります。

大橋 私はスタッフ部門なので現場でODC分析を使うことはなかったのですが、ODC分析の研修を受けてみて、欠陥を分類・分析するというこの技法の考え方は、スタッフ部門の現状分析や課題解決に役立てられるのではないかと思いました。

──なるほど。ODC分析は欠陥に属性を付けて分析する技法なので、その考え方自体はソフトウェア開発以外の部門でも課題の分析に応用できるかもしれませんね。

大橋 それともう1つ、先ほど言った「新しい風を吹き込んでもらう」という部分で、社員の帰属意識の向上という副次的な効果もありました。研修の参加者にアンケートをとったところ、自由回答欄で「久しぶりに他部署のメンバーと会って意見交換ができて良かった」とか「チームで意見交換しながら考えていく方法が分かりやすかった」といったポジティブな反応が多かったんですね。NDBの場合、現場の社員はいわゆる客先常駐というかたちになることが多いため、研修を実施したことで社員の帰属意識が高まるという思わぬ結果が得られました。

品質コンサルティングの成果を突破口に、さらなる品質改善を

──それでは最後に、皆さんの組織やプロジェクトは、今後どのようになっていきたいとお考えか、聞かせていただけますか?

大橋 NDBは現在、33社のクライアントと取引があります。お客様によって品質の考え方はかなり異なりますし、我々に対する品質への要求も多種多様です。そういう多種多様なリクエストに対応できるように効率化や業務改善を図っていきたいですね。そのために、ODC分析のようなスキルを増やしていきたいと考えています。

林 いろんな考え方・やり方を身に付けたいと思っています。これまで自分たちがやってきた以外の手法を知らない部分はありましたし、そのやり方が正しいかどうかも説明できていませんでした。今回、ODC分析という1つのやり方を知ることができましたし、それ以外にもたくさんのやり方があることが分かりました。今後もこのように知見を広げることで、会社としての引き出しを増やしていければと思います。

野口 最初のほうでも述べましたが、問題が起きてから対処するのではなく、問題が起きないように予防することが大切だと思っています。そのためには上流工程で品質を作り込む必要があるので、品質推進担当として、まずは品質分析手法を広めたいですね。それとともに、他プロジェクトの品質情報を収集することで、プロジェクトの特性に合わせて上流工程から品質を作り込める体制にしていきたいです。

──ありがとうございました。

聞き手:山﨑 崇(ベリサーブ)

QAエンジニアとしてセキュリティ対策ベンダーにてソフトウェアテストに従事。2015年にベリサーブに入社し、現場への技術支援や技術教育を担う。

NDB野口様

インタビューにご協力いただいた企業様

社名 日本デェイブレイク株式会社
URL https://ndbnet.co.jp/

日本デェイブレイク株式会社のロゴ

※掲載内容は2022年11月時点のものです。
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