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APIテストとは?基本から自動化のポイント、ツール選びまで解説

近年、システム開発では、複数のサービスやアプリケーションが API(Application Programming Interface)を通じて連携し、柔軟かつ効率的なアーキテクチャを構築するケースが増えています。APIは機能の再利用や拡張性の向上に大きく貢献する一方で、その信頼性や安全性を担保するためには、適切なテストが不可欠です。
本稿では、APIの基本的な役割と仕組みを解説した上で、APIテストの目的や必要性、代表的なテスト観点、具体的な実施手順、テストに用いられるツール、さらに効率化を図るための自動化手法について、テスト現場で得られた知識やノウハウを踏まえてAPIの基本をまとめています。
APIの品質を継続的に保証し、システム全体の信頼性を高めるための実践的な知識を共有します。
APIテストとは
API(Application Programming Interface)は、異なるソフトウェアコンポーネント間で機能の呼び出しやデータのやりとりなどを実施するためのインターフェースとして用いられます。これには、ネットワークを介したクライアントとサーバー間の通信をはじめ、同一アプリケーション内モジュール間の関数の呼び出しやオペレーティングシステムのシステムコールなども含まれ、幅広く利用されています。APIの活用によって、システムの柔軟性、効率性、拡張性が向上します。
APIテストは、これらのインターフェースが仕様の通りに動作するかを確認するプロセスと言えます(図表1)。APIテストの中で、機能、パフォーマンス、セキュリティ、信頼性、および互換性などの観点からテストを実施します。
なお、本記事では具体的な説明を行うため、クライアントとサーバー間のリクエスト/レスポンスを中心に説明しますが、ネットワーク越しの通信に限らず、ライブラリ間のインターフェースやOSレベルのシステムコールなども、広義のAPIテストの対象に含まれます。APIテストを他のテストタイプと比べると、以下の特徴があります。
- 開発プロセスの中で早期に検証が可能
- 速度とパフォーマンスの評価が可能
- データとサービスの詳細な検証が可能
- テスト自動化の導入と保守が容易
図表1: APIテストの構成と流れ
APIテストの目的
前記した通り、本記事ではクライアントとサーバー間にフォーカスして、APIテストを具体的に説明しています。
クライアントとサーバー間におけるAPIテストの主な目的は、通信インターフェースが仕様設計の通りに動作し、品質、セキュリティ、およびパフォーマンス要件を満たすのを保証することです。 筆者が行っているAPIテストでは、APIテストの目的を以下の5つに分類しています。
| 目的 | テスト種別 |
---|---|---|
1 | 機能における正確性の検証 | Functional Test |
2 | 信頼性の確保 | Load Test、Stress Test |
3 | セキュリティ対策 | Security Test、Penetration Test |
4 | パフォーマンスの最適化 | Performance Test |
5 | 互換性の維持 | Compatibility Test、Regression Test |
APIテストツールについて
APIテストの目的を上述してきましたが、これら目的を達成するためにはAPIテストツールの導入を検討することも大切です。
APIテストツールは、APIの品質保証や開発効率向上に寄与し、APIの基本動作確認、負荷テスト、セキュリティ、互換性確認など多くの場面で役立ちます。 より高度なテスト自動化やパフォーマンステストのプロセスが必要な場合は、APIのテストツールが必須となります。
また、APIテストツールが重要とされる理由は以下のようなものがあります。
- APIのテストプロセスの効率化による開発スピードの向上
- マニュアルテストに比べ網羅的かつ効果的なテスト実行
- 自動テストや性能テストといった手動テストより、高度なテストを実現
- テストシナリオ流用性の向上
- レポーティング機能によるテスト結果等の履歴をストック
APIテストツールは、開発スピードと品質の両立を実現する上で、使いやすさと機能面でのいいところ取りができるため、ツール導入を検討する価値は非常に大きいです。 テストケースのパラメータ化やテストスクリプトのモジュール化をすることでシナリオの流用性が向上します。
また、自動テストや性能テストのような、より高度なテストについても実現しやすく、効果的なテストを実行できます。いくつか代表的なAPIツールについて紹介しますので、状況に応じて導入するなど参考にしてみてください。
Postman(無料版/有料版)
PostmanはAPI開発とテストのためのツールです。HTTPリクエストを作成し、APIエンドポイントに送信できるため、APIの動作をテストしたりリクエストとレスポンスのデータを確認したりできます。Postmanは豊富な機能、リクエストの作成や編集、ヘッダー管理、パラメータ設定、レスポンスの確認を行えます(図表2)。
<特徴>
- エンドポイントへのリクエストを送信して、レスポンスを確認できる
- バックエンドがなくても、仮のレスポンスを返すAPIを模擬できる
- APIのエンドポイントに関する説明や詳細を簡単に作れる
- スクリプトを作成しテスト自動化実行することができる
- 変数設定により異なる環境や条件に対し、APIリクエストのパラメータとして実行できる
- 関連するAPIリクエストをグループ化し、共有や再利用できる
<推奨ポイント>
Postmanの大きなメリットの一つと言えるのが、「APIリクエストの作成と編集のしやすさ」です。
HTTPリクエストの作成が非常に簡単かつ直感的に操作でき、また、APIテストや開発が迅速かつ効率的に行えます。

JMeter(無料)
JMeterはオープンソースの負荷テストツールとしてWebのサービス全般に対して、負荷試験シナリオを構築して実行できます(図表3)。また、テスト資産の再利用性にも優れており、継続的な負荷試験に向いているため、負荷テストやパフォーマンステストを第一に考えている場合に適しています。
<特徴>
- WebアプリケーションやWebサービスに対する負荷テストに好適
- REST API、SOAP、HTTP(S)などのプロトコルに対応
- テストの実行プロセスを視覚的に記述できるテスト計画機能を搭載
- 豊富なグラフやレポート機能によりテスト結果を可視化
- 分散テストを実行することで、大規模負荷テストが可能
- Java経由での機能拡張が容易
<推奨ポイント>
オープンソースのため、サーバー環境さえ用意できれば導入コストを抑えて負荷テストを行うことができます。また、JMeterはオンラインコミュニティが充実しているため、公式ドキュメントの他、ブログ記事や動画コンテンツなどから学習がしやすいなど学べる環境が整っています。

Apidog(無料版/有料版)
ApidogはAPI設計、APIデバッグ、APIモック、API自動化テストを一体化した包括なAPI総合プラットフォームであり、機能が豊富なことが大きなポイントです。APIの単体テスト、シナリオテスト、パフォーマンステストなどのオプションも幅広くあります。
また、従来のAPI開発では、Swaggerと合わせて複数のツールを併用する必要がありましたが、Apidogは機能を一つにまとまっており、開発プロセスの効率化と品質向上の両立が期待できます。
<特徴>
- Swagger、OpenAIなど、さまざまなAPI仕様書フォーマットに対応
- HTTPリクエストの作成から送信、レスポンス確認までを一貫して実施可能
- Apidog CLIを提供することで、CI/CDへシームレスに統合可能
- REST、GraphQL、SOAP、WebSocketなど数多くの主流APIに対応
- 豊富なモニタリングと分析ツールを提供
- さまざまなインテグレーション方式をサポート可能
<推奨ポイント>
Apidogは直感的なUIで使いやすさや、API仕様書やドキュメントの自動生成、チーム間の連携、多様なプロトコルに対応しています。拡張されたコラボレーションツールや優れたドキュメンテーション機能から、強力なテストやモニタリング機能まで、ApidogはAPI開発プロセスをより円滑かつ効率的に行えるように設計されています(図表4)。

APIテストの観点
さて、一口にAPIテストと言っても「どんな観点」で「どんなテスト」をすればよいのでしょうか。 APIテストではどのような観点でテストするべきなのか、機能テストにおける観点とその概要について以下にまとめました(図表5)。
| 観点 | 概要 |
---|---|---|
1 | 入力バリエーションチェック | 有効/無効値入力時のレスポンスを確認 |
2 | 入力不正チェック | 不正値入力時のレスポンスを確認 |
3 | リクエスト成立チェック | リクエストが成立するか、失敗するかを確認 |
4 | ResponseBodyチェック | 指定されているHTTP status codeの形式がSpec通りであるかを確認 |
5 | 複数入力値チェック | 複数Keyを入力した際のレスポンスを確認 |
6 | データ状態別動作チェック | 操作対象のデータ状態別にAPIコールし、妥当なレスポンスがあるかを確認 |
7 | ファイルアップロードチェック | API spec内外のファイルを指定した場合のレスポンスを確認 |
8 | 値依存チェック | あるパラメータの値に応じて、他パラメータの必須性や許容値が変化する場合、その組み合わせで正しいレスポンスが返ることを確認 |
9 | パラメータ依存チェック | 各パラメータの設定/未設定を組み合わせた場合のレスポンスを確認 |
10 | 親子関係チェック | パラメータ間に親子関係がある場合、正しい親子の組み合わせで期待通りのレスポンスが返ること、誤った組み合わせでは適切なエラーが返ることを確認 |
11 | 排他関係チェック | 同時指定できない複数パラメータが併用された場合、エラーが返ることを確認する。片方のみ指定した場合に正常動作となることも併せて確認 |
12 | 範囲関係チェック | 数値・日時などのパラメータについて、上限/下限や開始/終了の範囲条件を満たさない場合に適切なエラーが返ること、範囲を満たす場合に正常動作となることを確認 |
13 | 前提関係チェック | 前提条件の状態を組み合わせた場合のレスポンスを確認 |
14 | リクエスト頻度チェック | ユーザー利用制限値超過などのリクエスト過多、もしくは高頻度にリクエストした場合のレスポンスを確認 |
15 | リクエストバリエーションをチェック | さまざまな設定パターンをした場合の成功レスポンスを確認 |
16 | APIバージョンアップ後のデータ操作チェック | 旧APIバージョンで作られたデータに対し、新APIバージョンにてデータの動作を確認 |
17 | APIバージョンアップ前のリクエスト指定方法をチェック | 旧APIバージョンから変更のあったリクエスト指定方法に対して、変更前の指定方法でリクエストした場合の動作を確認 |
18 | RequestBodyを複数指定チェック | (複数設定が可能な場合) さまざまな条件で複数設定した場合のレスポンスを確認 |
図表5:機能テストにおける観点とその概要
APIテストをする場合はこのように、機能、信頼性、パフォーマンス、セキュリティなども考慮し、全てのコンポーネントがエンドツーエンドで、どのように連携するかをテストしていく必要があります。
APIテストのやり方、手順
APIテストは、APIが期待通りに動作することを確認するためのプロセスと言えます。以下にAPIテストの一般的なやり方とその手順を説明します。
1)テスト計画
- 目的の明確化:APIテストの目的(例:正確なレスポンス、セキュリティ、パフォーマンス、契約準拠)を明確にします
- スコープ定義:テスト対象APIの範囲(エンドポイント、バージョン、依存関係)を明確にします
- リソースの計画:必要なテスト環境、テストツール(Postman, JMeter, REST Assuredなど)、テスター、スケジュールを決定します
- リスク分析:失敗時の影響が大きいAPIの優先度を上げるなど、リスクベースドテストの適用も検討します
2)テスト分析と設計
- 仕様の確認:API仕様書(OpenAPI/Swagger、Postman Collectionなど)をレビューします
- テスト条件の導出:テストベース(要求仕様、設計書、API仕様書)からテスト条件を抽出します
- テストケースの設計:テスト条件を基にテストケースを設計します
- 正常系テスト(例:適切なリクエストを送信し、想定通りのレスポンスが返るか)
- 異常系テスト(例:無効な入力、認証エラー、存在しないリソース)
- 境界値分析、状態遷移テスト、同値クラステストなどの技法を活用
- データの設計:リクエストボディやクエリパラメータに使うデータを定義します
3)テスト実装と実行準備
- テストケースの実装:選定したツールでテストスクリプトを記述します(例:Postmanのコレクション、Python + Requests、JUnit + REST Assured)
- テストスイートの構成:機能別や優先度別にテストケースを分類・グループ化します
- 前提条件の設定:テスト実行を行うための前提条件を設定します
- テストデータの準備(DBの初期化など)
- テスト環境の構築(APIサーバー、認証トークン、モックなど)
- レビュー:テストケースとスクリプトのレビューを実施します(ピアレビュー、ウォークスルーなど)
4)テスト実行
- テスト実行の順序制御:依存関係に応じてテストケースを順序立てて実行します
- テスト実行の自動化:CIパイプラインに統合して継続的テストを可能にします(例:GitHub Actions、Jenkins)
- 結果の記録とログ取得:リクエストとレスポンス、HTTPステータス、レスポンスタイムなどを記録します
- インシデントの報告:仕様に合致しない結果が出た場合、インシデントとしてチケット登録を行います
5)テスト完了
- 完了基準の確認:全ケース実施、重大なインシデント解消、カバレッジの達成などの完了基準を満たしているかを確認します
- 成果物の整理:テストレポート、ログ、スクリプトを保管します
- 振り返り(レトロスペクティブ):プロセスの改善点や学びをまとめます
- メトリクス収集:テスト件数、バグ件数、修正対応時間などを収集して将来の計画に活用します
APIテストとテスト自動化の親和性が高い理由
前記したツールの解説からも、APIテストと自動テストの親和性が高いことをご理解いただけたと思います。そこで、その理由を7つ挙げてみます。
1)明確なインターフェース
APIは通常、HTTPリクエストとレスポンスを介して操作されるため、そのインターフェースが明確に定義されています。これにより、テストケースの実装と実行が容易に自動化できます。
2)安定したテスト環境
APIは通常、バックエンドロジックに対して行われるため、UIの変更に影響されにくく、テストが安定して実行できます。また、APIの仕様(エンドポイント、リクエスト形式、レスポンス構造)は一度決まると安定的に運用されることが多いので、APIテストはUIテストと比べてテストスクリプトのメンテナンスが容易です。
3)効率的なテスト実行
APIテストは、ユーザーインターフェースを介さずに直接バックエンドにアクセスするため、テストの実行速度が速くなります。これにより、短時間で多くのテストケースを実行できます。
4)データ駆動テストの容易さ
APIテストは、異なる入力データを使用して同じテストケースを繰り返し実行するデータ駆動テストに適しています。これにより、さまざまなシナリオを効率的にテストできます。
5)CI/CDとの統合
APIテストは、継続的インテグレーション/デリバリー(CI/CD)パイプラインに簡単に組み込めます。コードの変更があるたびに自動でテストを実行し、問題を早期に発見できます。
6)スクリプトの再利用性
APIテストスクリプトは、異なるプロジェクトや環境でも再利用可能です。これにより、新しいプロジェクトでのテストセットアップが迅速に行えます。
7)幅広いツールサポート
多くのツールがAPIテストの自動化をサポートしており、Postman、RestAssured、SoapUIなどのツールを使って簡単にテストを自動化できます。
まとめ~APIテスト自動化の流れ~
ここまで、APIテストについて、クライアントとサーバー間にフォーカスを当てて説明してきました。最後にまとめとして、APIテストを自動化する流れを例示します。図表6の通り、4つのステップに分けています。

本稿ではAPIテストの基本から実践的な手法までを包括的に紹介しました。 API品質の確保には適切な観点と手順に基づいたテストが不可欠であり、さらに自動化によって効率と精度を高めることが可能です。 この記事がこれからAPIテストに携わる方々の理解の一助となれば幸いです。
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