Cases
株式会社フォトラクション様 導入事例
建設SaaSのフォトラクションがQA体制を標準化
ベリサーブと築いた「自走するQA組織」

紙やExcel、担当者ごとのファイル管理に依存しがちだった建設現場の情報共有をクラウド上で一元化する「Photoruction Build(フォトラクション ビルド)」を展開している株式会社フォトラクション様。写真管理や図面管理、工程管理、検査記録、帳票作成を一元管理し、多くの建設会社の間で利用が広がっています。急成長する事業の裏側で同社が直面していたのが、品質保証(QA)体制の属人化という課題でした。ベリサーブの支援を受けながら、いかにして自走できるQA組織へと転換移行していったのかを、同社執行役員CTOの中村州一朗様に伺いました。
業種
建設テック(建設生産支援クラウド、開発パートナーサービス)
導入サービス
QA組織立ち上げ支援、テスト設計・実行
株式会社フォトラクション
中村 州一朗 様
執行役員CTO
拡大するサービスと、品質管理に生じた課題
──はじめに、Photoruction Buildについて、教えてください。
中村:建設現場における写真管理や図面管理、工程管理、検査記録、帳票作成といった業務をクラウド上で一元管理するサービスです。現場を担当される方がスマートフォンやタブレットからその場で情報を登録できるようにすることで、事務作業の負担軽減や確認作業の円滑化、情報の行き違いによる手戻りの抑制にご活用いただいています。

建設プラットフォーム「Photoruction Build」は、建設生産をテクノロジーで標準化し、業界課題を解決する(画像提供:株式会社フォトラクション)

建設現場の写真や図面など、施工管理に必要な情報を一元管理する施工管理クラウド「Photoruction Build」(画像提供:株式会社フォトラクション)
──急成長されていらっしゃいますが、事業を拡大していく中で、展開する体制にはどのような変化や課題がありましたか?
中村:利用企業様が増えるほどPhotoruction Buildへの期待値も高まり、現場ごとのご要望も多様化していきます。それぞれに異なるご要望の全てを個別にカスタマイズで対応すると収拾が付かなくなります。そこで、さまざまな機能を企画・開発しながらリリースのスピードを上げる一方、共通機能だけでは対応しきれない部分は「MSP(マネージドサービスプロバイダー)」という枠組みで柔軟にカスタマイズした機能をご提供してきました。ただ、その分、別の開発工数が発生するため、効率的な対応は日々の課題でした。
──そうした中で、品質管理の面で、支援が必要だった部分はどのようなところだったのでしょうか?
中村:ベリサーブさんとご一緒する以前からQAの組織自体はありましたが、テストケースを作る人と実施する人が分かれた体制で、テストケースを設計できる人材が限られていたことから属人化を招いていました。機能とテストケースの増加に伴い、テスト設計の知見が一部のメンバーに集中し、開発・リリースの速度にQA体制が追い付きにくい場面がありました。継続的に安定した品質を提供するため、テスト設計の標準化と体制強化が必要だと考えていました。

「障害ゼロを目指します」という言葉に懸けた、ベリサーブへの期待
──外部の専門家の力を借りることを決めた背景と、社内にどのように説明されたのかを教えてください。
中村:おおむね自然に受け止めてもらえましたが、まったく波風がなかったわけではありません。従来QAを担当していたメンバーの中には「なぜ外部の力を借りるのか」という思いを抱いた人はいたと思います。ただ、それは従来のやり方を否定するものではなく、会社として次のレベルを目指すための投資だと伝え続けることで、納得してもらえました。最終的には外部支援の活用は、強いQAチームを作るために必要な投資だと判断しました。
──実際に体制を作ろうと動き出した際、何社か提案を受けられたと思いますが、その中でベリサーブはどのように評価されたのでしょうか?会社選定の決め手になった理由を教えてください。
中村:私自身、品質管理の業界に詳しかったわけではなかったので、まず何社かに話を伺うところから始めました。各社にはそれぞれの社風が表れていて、他社はプロダクトベースの提案という印象が強かったのに対し、ベリサーブさんはまず私たちの課題に耳を傾け、そこにどんな提案ができるかを考えてくれました。中でも印象に残っているのが、提案の中での「障害ゼロを目指します」という言葉です。ベンダーの立場からはなかなか言えない言葉だと思いますが、本気で品質に向き合う姿勢が伝わり、ベリサーブさんにお願いしようと判断した大きな決め手になりました。
──選定された時点で、ベリサーブと一緒にQA組織を作っていくというお考えはあったのでしょうか?
中村:私たちからすると、ベリサーブさんは品質管理の専門家として、自社だけでは見えにくかった課題を明らかにし、改善に導いていただくことを期待していました。テストケースを作るエンジニアリングの部分にも入っていただいたことで、私たちのQAチームは多くのことを吸収できましたし、自走できる組織へ移行するきっかけになったと思います。
探索的テストの導入とチームとしての一体感
──ベリサーブの支援を受けて、品質面では具体的にどのような変化がありましたか?
中村:テストケースを作る際に、これまで欠けていた観点を教えていただき、取り入れられるようになりました。また、1日にどれだけテスト実行をこなせるかをトラッキングする取り組みも始め、効率良くテストを実施する考え方が今のチームに根付いています。テストケースを作れる人材が限られ、特定の担当者に負荷が偏っていた状態から、チーム全体で観点を共有できる状態へと近づいてきました。
──そうした取り組みは、品質面での底上げに結び付いたと言えますか?
中村:品質そのものがどれだけ改善されたかを厳密に測るのは今も難しい部分があります。ただ、あらかじめ用意したシナリオだけでなく、経験や知識を基にその場で不具合を探っていく「探索的テスト」を新たに取り入れたことで、従来のシナリオテストだけでは見つけにくかった不具合を、リリース前に発見できる機会が増えました。現在は、検出した不具合の傾向を分析し、テストのカバー範囲を継続的に広げています。問題を早い段階で発見できるようになったこと自体が、大きな成果です。一方で、お客様はさまざまなパターンでサービスを使われるため、中には現場まで擦り抜けてしまう不具合もまだあります。そこで、検出できた障害パターンをさらに分析してカバー範囲を広げていくことが次の課題だと考えています。
──品質面だけでなく、組織やチーム体制、カルチャーの面での変化があれば教えてください。
中村:テストケースを作るエンジニアリングの部分にベリサーブさんに入っていただき、私たちのQAチームが多くを吸収できました。テスト実行についても一部をお願いしており、スピードと質、量共に安定して対応いただいたのは非常に助かりました。社内のQAは9人ほどの体制ですが、ベリサーブさんのエンジニアには作業を依頼する形ではなく、一つのQAチームの一員として加わっていただいた実感があります。さらに振り返ると、テスト業務のフロー全体を改善していただいた部分も大きいと思います。
AIが変える開発とQAの関係、沖縄を拠点とした次のステージ
──今後、QA組織としてはどのような取り組みを見据えられていますか?
中村:AIの活用によって開発、特にコーディングのスピードがどんどん上がっている一方、QAがリリースのボトルネックになり得るという課題が出てきています。実際にそうなっているプロジェクトは増えており、これは当社に限らず、多くの開発組織が向き合う課題になっているのだろうと感じています。AIの活用に見合った開発環境に合わせて、QAの活動自体を新たに定義していく必要があると考えています。
──沖縄にも拠点を設けられたとお聞きしています。QA業務との関係はあるのでしょうか?
中村:以前は、地方拠点で開発や運用の一部を担うニアショアという発想でしたが、今は必ずしも人を増やせばよいわけではなくなってきています。そこで、専門性を理解した上でQAの質を上げるために何をやれるかを考える場所として位置付け直しました。テスト設計や実行の一部を担うQAのAIエージェント基盤は用意したものの、それを日々のQAメンバー間の対話を通じて育てていくのは、現場に近い沖縄チームに任せています。

フォトラクション様の沖縄オフィス。現地採用の社員の育成にも注力されている。
──これまでのベリサーブの支援に対するご評価と、今後期待されることがあれば教えてください。
中村:ここまで自走できる組織を作り上げることができたのは、ベリサーブさんの支援があったからこそだと感謝しています。もし今後もご一緒するとすれば、先ほどお話ししたQAのAIエージェントに関わる話と、それに加わるセキュリティへの対応をトータルでマネジメントしていただくことになるのではないかと考えます。一つのAIエージェントだけの話だと小さくなってしまいますが、セキュリティも含め、AIの活用にどう向き合っていくかを総合的に支援してほしいというニーズは、多くの企業に共通するのではないでしょうか。
──ありがとうございました。

取材にご協力いただいた企業様
社名 株式会社フォトラクション
URL https://corporate.photoruction.com/
掲載内容は2026年7月時点のものです。
掲載されている製品名、会社名、サービス名、ロゴマークは全て各社の商標または登録商標です。