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テスト技法ツール「GIHOZ(ギホーズ)」とは何か?

テスト技法ツール「GIHOZ(ギホーズ)」とは何か?

本記事では、当社が開発および運営しているテスト技法ツール「GIHOZ(ギホーズ)」について解説します。GIHOZとはどんなツールなのか、GIHOZを使うことでどんなメリットがあるかを知りたい方は、ぜひご覧ください。

GIHOZとは

GIHOZは、ソフトウェアテストにおけるテストケースを作成するための各種テスト技法・テスト分析手法を手軽に利用できるクラウド型ツールです。

GIHOZ公式サイト

GIHOZを用いると、さまざまなテスト技法・テスト分析手法を使ってブラウザ上で手軽にテストケースを作成できます。GIHOZでは後述する計7つのテスト技法・テスト分析手法をサポートしており、目的に応じてそれらを選択して利用することが可能です。

例えば、テストの入力条件の組み合わせ、あるいは、状態遷移図などのモデル図から表形式のテストケースを自動生成することができます。ソフトウェア開発の効率化に貢献するツールとして、2020年11月にオープンβ版、22年10月に有償版を公開して以来、多くのお客さまにご利用いただいているのです。

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GIHOZがサポートするテスト技法・テスト分析手法

24年3月現在、GIHOZはソフトウェアのテストやQA(Quality Assurance)の現場で比較的よく使われている6つのテスト技法と1つのテスト分析手法をサポートしています。それらは用途に応じて使い分けることができます(図表1)。

図表1:GIHOZでは6つのテスト技法と1つのテスト分析手法の合計7つをサポート

以下では、GIHOZがサポートしているテスト技法・テスト分析手法を1つずつご紹介します。

<テスト技法>

・ペアワイズテスト

2つのパラメーター間の組み合わせを網羅するテストケースを作成する技法です。2つのパラメーター間の組み合わせにのみ着目するため、パラメーターが3つ以上になる場合でも組み合わせの件数を抑えてテストケースを作成できます。「ペアワイズ法」や「オールペア法」とも呼ばれます。

・デシジョンテーブルテスト

ISO 5806:1984(JISではX0125:1986)で規定されている決定表(デシジョンテーブル)の表記で、入力条件の組み合わせと対応する出力結果を整理してテストケースを作成する技法です。入力条件の組み合わせを網羅することや、重要な組み合わせを識別してテストケースを作成できます。

・状態遷移テスト

テスト対象の状態の遷移を、状態遷移図や状態遷移表の形式で整理し、そこから状態遷移を網羅するテストケースを作成する技法です。テスト対象の状態と、状態の変化を起こすイベントを識別してテストケースを作成します。

・境界値分析

連続する値の境界を分析し、境界となる値に対するテストケースを作成する技法です。境界値は仕様の解釈に関しての齟齬(そご)が生まれやすく、バグが潜んでいる可能性が高いとされます。境界値を狙ってテストすることで、仕様の認識ミスや実装ミスによるバグを検出できます。

・クラシフィケーションツリー法

テストの入力条件をツリー形式の図でグラフィカルに整理して、テストケースを作成する技法です。入力条件を漏れなく整理しテストカバレッジを高めたい場合に有効です。 入力条件の組み合わせを作成する際は、ペアワイズ法などの組み合わせテスト技法を活用できます。

・CFD法(Cause Flow Diagram)

テストの入力条件と出力結果を原因流れ図でグラフィカルに整理して、デシジョンテーブルとテストケースを作成する技法です。プログラムの処理ロジックが分かっている場合に、複雑な論理関係の仕様からテストケースを漏れなく作成するために活用できます。

<テスト分析手法>

・VSTeP(Viewpoint-based Software Test Engineering Process)

テスト観点をツリー形式の図でグラフィカルに整理し、テスト観点の組み合わせを指定することで、テストの内容を決定する方法です。さまざまなテスト観点を洗い出してテストの全体像を可視化できます。

GIHOZを活用するメリット

GIHOZを活用するメリットとして、以下が挙げられます。

  • ①さまざまなテスト技法・テスト分析手法を簡単に活用してテストづくりを効率化できる
  • ②テストケースが何を網羅したか説明可能になる
  • ③テスト設計の過程をチームで共有できレビューや再利用がスムーズにできる

それぞれのメリットについて、詳しく解説します。

①さまざまなテスト技法・テスト分析手法を簡単に活用してテストづくりを効率化できる

テストの入力条件の組み合わせを作成する際、手作業では手間がかかります。一方、ツールを使う場合でも、環境やユーザーごとにツールのセットアップが必要で、準備に時間がかかることがあります。

GIHOZを利用すると、組み合わせの自動生成や、状態遷移図などの図からテストケースを自動生成することもできますので、効率的にテストケースを作成可能です。さまざまなテスト技法・テスト分析手法が1つのツールで利用でき準備の時間を減らせますし、シンプルなUIで直感的かつ簡単にテスト技法・テスト分析手法を利用できます(図表2)。

図表2:GIHOZでは組み合わせの自動生成や、状態遷移図などの図からテストケースを自動生成できます

②テストケースが何を網羅したか説明可能になる

テスト技法を使わずにテストケースを作成する場合、どこまでテストケースが網羅できているのかをうまく説明できなかったり、テストの抜け漏れが発生したりすることがあります。

GIHOZのテスト技法を活用することで、テストケースの作成基準が明確になり、網羅性をロジカルに説明できるようになります。決まった基準でテストケースを作成することでテストケースの抜け漏れ防止にもつながります。

例として、状態遷移テストでは「Nスイッチカバレッジ」という網羅基準が一般的に知られ、中間にN個の状態を含む経路を網羅するようにテストケースを作成します。ペアワイズテストではペアワイズと呼ばれる網羅基準に従い、2つの入力パラメーターの取り得る値の組み合わせを網羅するように、組み合わせを作成します(図表3)。

図表3:「0スイッチカバレッジ」「ペアワイズカバレッジ」の例

③テスト設計の過程をチームで共有できレビューや再利用がスムーズになる

レビュー時やテストを再利用したい場合、テストケースのみが共有されると設計意図を理解できず、作業をうまく進められないことがあります。

GIHOZを利用することでテストケースだけでなく途中経過の図や表も一緒にGIHOZ上に保存し、チームメンバーに共有できます。これによりテストケースのレビュー、再利用がスムーズになります(図表4)。

図表4:GIHOZならテスト設計の過程をチームで共有できるので、レビューや再利用がスムーズに行えます

活用事例

GIHOZは製品メーカー、ソフトウェア開発ベンダーなど、業種を問わずさまざまなお客さまにご利用いただいています。Webアプリケーションや組み込みソフトウェアなど、そのテスト対象もさまざまです。

あるアジャイル開発のプロジェクトでGIHOZを活用した事例では、1カ月のイテレーションでのテスト設計期間12日のうち、1~2日程度の工数削減を実現しました。

各テスト技法を使うための準備の工数を削減できたこと、仕様変更時のデシジョンテーブルなどの更新作業を効率化できたこと、レビュー時に説明のための図の用意が不要となったことなどから、このような効果を得られました。

また、GIHOZは学習での利用や、経験の浅いメンバーがテストづくりする際にも活用いただいています。

さまざまなユーザーによる活用事例も公開されていますので、ぜひご覧ください。

実はGIHOZの開発チームでもテスト技法ツールとしてGIHOZを活用しています。デシジョンテーブルテストを用いて入力条件の組み合わせと動作を整理したり、状態遷移テストを用いて状態の遷移を漏れなくテストしたり、VSTePでテスト観点を整理するなど、必要十分なテストを効率的に作成するために用いているのです。

おわりに

本記事では主にGIHOZの概要について詳しく解説しました。テスト技法やテスト分析手法を活用して効率よくテストを作るために、ぜひGIHOZをご利用ください。

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